***もっと酔わせて vol.4 〜総つく〜***



 
-tsukushi-

「いいじゃん、一緒に住んじゃえば」

類の言葉に、あたしは溜め息をつく。

「簡単に言わないでよ。あの西門さんだよ?あたしがあの家に住むの?」

「いやなら、マンションでも借りれば。楽しそうじゃん」

そりゃあね、あたしだって。

ようやく実ったこの恋を大切にしたいし。

西門さんといつも一緒にいたいという気持ちはあるけれど。

でもいきなり同棲なんて。

「いいなあ、同棲。もしマンション借りるなら、俺遊びに行くから」

完全に面白がってる類を恨めしげに見て。

「人ごとだと思って・・・・・」

「人ごとだし。だいたい、何を迷ってるんだかわからない。一緒にいたいなら、一緒にいればいい。そうできない理由もないでしょ?」

類の言葉に思わず詰まる。

「そりゃ、まあ―――」

「もしかして、総二郎と同棲っていうのが怖いとか?」

あの総二郎だし?

と、にやりとする類に。

ぎくりとするあたし。

「じゃ、こうすれば?」

「な、何?」

「俺も一緒に住むとか」

意味のわからない提案に。

あたしは目が点になったのだった・・・・・。



-soujirou side-

「却下」

俺は一言、そう言った。

ようやく気持ちの通じ合った牧野と、いつも一緒にいたくて。

『一緒に住もう』と牧野に言ったのは昨日のこと。

それに対して、なぜか今日類が『俺も一緒に住みたい』と言って来た。

冗談じゃない。

同棲なんて、2人でするもんだ。

どうしてそこに類が入ってくるんだっつーの。

「いきなり同棲っていうのが、抵抗あるんでしょ?牧野は。なら、3人で住むとかならいいんじゃないの?」

にこにこと楽しそうな類に。

俺は額に青筋を浮かべて。

「だから、なんでお前も一緒に住むんだよ?俺は牧野と一緒に住みたいって言ってんのに!」

「けど、牧野は迷ってる。このままだとその企画も流れると思うんだけど」

「なんで」

「牧野の性格からして、親にもらった金でマンション借りて同棲なんて、納得するとは思えない」

その言葉に、俺もぐっと詰まる。

確かに、それは俺もそう思っていたけれど―――。

「だから、それなら俺のマンション使えば」

「―――は?」

「大学の傍に、あるんだよ。通学に便利だからとか言って、親が買ったマンションが。自炊するのが面倒で、たまにしか使ってないけど」

「なんだそりゃ。初耳だぞ」

「言ってなかったからね。だいたい、何にも置いてないから行っても寝るくらいだし。だから、そこ使ってもいいよ。ただし、俺も一緒に住むっていう条件付きならってこと」

確信めいた類の笑顔に。

俺は、白旗を上げるしかなかった・・・・・。





  

お気に召しましたらクリックしていってくださいね♪