-tsukushi-
「相変わらず、意地っ張りだね」
そう言ってくすりと笑う類が憎たらしい。
「べ、別に意地なんて―――」
「気になって仕方ないくせに。たまには素直にならないと、後悔するんじゃない?」
「―――わかってる」
だけど、どうしたらいいかわからない。
酔った勢いで付き合うことになっちゃったあたしと西門さんだけど。
西門さんの周りはいつだって華やかな女の人たちで溢れてて。
その中に入っていくのも嫌だし。
かと言って自分だけが特別だなんて自惚れられるほどの自信もなくて。
突然降って湧いたような恋心を持て余してる。
「―――おれが手伝ってあげてもいいけど」
そう言ってあたしの顔を覗き込む類。
「総二郎には恨まれるかな」
なんて言いながら、どこか楽しそうに微笑む類に。
悪魔の尻尾が見え隠れしているように見えた―――。
-soujirou-
「牧野なら、類とどっか行ったぜ」
あきらの言葉に、顔をしかめる。
「類と?なんで―――」
「さあな。けどあの2人が仲いいのは今に始まったことじゃねえだろ?」
「そりゃまあ・・・・・。けど気に入らねえ。牧野の奴、こないだからあからさまに俺を避けてやがるからな」
俺の言葉に、苦笑するあきら。
「ま、あいつの気持ちは手に取るように分かるぜ。酔った勢いで付き合うなんて言っちまって、失敗したと思ってるんじゃねえの」
「―――なんだよ失敗って」
「あの牧野だぜ?大勢の彼女と一緒の扱いなんかでおさまるかよ」
「大勢って―――俺は」
「その辺、あいつかなり誤解してるから。本気ならちゃんと話してやれば」
にやりと含んだ笑みを浮かべるあきらに。
悔しいけれどその通りだと納得せざるをえない。
つまんねえことであいつを手放す気はねえんだ。
手始めに。
牧野と類の行きそうなあの場所へと、足を向けた・・・・・。
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