***Sweet Angel vol.6***



 *あくまでも類つくですが、総つくっぽい展開になっています。このシリーズでは総二郎、あきらともこういった展開が出て来ますので予めご了承ください。今後の展開に必要なお話だと思っていますが、抵抗のある方は読まれるのをお止めください。読まれる場合は全て自己責任においてお願いいたします。クレームには応じられませんのでご承知おきを・・・・・。

 -soujirou-

 柔らかい唇を奪い尽くすように口付ける。

 唇が離れても、その体を離すことが出来ない。

 細い体は力いっぱい抱きしめたら折れそうで・・・・・

 俺はその髪にキスを落とした。

 「・・・・・馬鹿だな、お前」
「何よ、馬鹿って」
 牧野が拗ねたように俺を見上げる。
「俺が・・・・・俺らが、お前のこと離すわけねえだろ?」
「・・・・・でも、いつかは離れていくよ」
「何でそう思うわけ?」
「だって・・・・・・」
 俺は牧野の体を離すと、その小さな手を両手で包み込んだ。
「俺もあきらも、大学を出たら家を継ぐことは決まってる。俺はすぐに家元を継ぐわけじゃねえけど、家業に専念することは決まってる。そしていずれは親の決めた相手と結婚して子供作って・・・・・それぞれの家庭を持ち・・・・・お前とは疎遠になる。そう思ってるわけだ?つくしちゃんは」
 俺の言葉に、牧野がぐっと詰まる。
 
 まったく・・・・・
 こいつは何でこうかわいいんだろう。
 牧野は類を愛してる。
 その気持ちに嘘はないし、類との子供が出来たことを喜んでいるのも本当だろう。
 時折愛しそうにお腹に手を添える無意識の仕草。
 本人も気付かないうちに母性が目覚めてるのだろう。
 
 だけどきっと。
 俺やあきらとの繋がりが、どんどん薄れていってしまうのを憂いでいるのも本当の気持ち。
 ただの友達じゃない、特別な繋がりがあると、俺たちは思ってる。
 それでも時の流れは、否応なく俺たちを引き離しにかかるだろう。
 牧野は類と別れたりはしない。
 俺たちもそれを望まない。
 だから・・・・・

 「・・・・・それでも、離れたりしねえよ」
 俺の言葉に、牧野はその潤んだ瞳で見つめる。
「もちろん家に逆らうのは簡単なことじゃない。でも、お前はそんなこと心配しなくていい。決めるのはおれ自身だ」
「なんで・・・・・」
「そこまでするのかって?わかんねえか?」
 不思議そうに俺を見つめる牧野。
 俺はふっと笑って、牧野の髪を撫でた。
「・・・・・簡単なことだ。俺にはお前が必要だから。お前と会えなくなったら、俺は生きていけない」
 その言葉に牧野の瞳が大きく見開かれ、頬が染まる。
「お、大袈裟だよ・・・・・」
「俺は、大真面目だぜ」
 俺を見つめる瞳が揺れる。
「お前が幸せなら、それでいい。それも本気だ。だけど・・・・・お前から離れることは、できない。類に迷惑がられても、これだけは譲れない・・・・・」
「西門さん・・・・・」
「お前も、おんなじように俺達のことを思ってくれてるってことだろ?結ばれることはなくても・・・・・離れることはできない・・・・・。ちがうか?」
 牧野が、ゆっくり首を横に振った。
「・・・・・違わない。あたし、西門さんとも、美作さんとも離れたくないの。こんなのただの身勝手だってわかってるのに、止まらなくて・・・・・どうしたらいいのか、わからなかった・・・・・」
「簡単なことだろ」
 そう言って俺は、牧野の額に口付けた。
「ずっと・・・・・傍にいてくれればいい。類と、そのお腹の子と・・・・幸せになれ。俺は、その幸せをずっと見てる。それが、俺にとっての幸せだよ。俺のことを幸せに出来るのは、お前だけだぜ?これってすげぇことだとおもわねえ?」
 牧野の瞳から、涙が一粒、零れ落ちた。
「傍に・・・・・いてくれるの・・・・・?」
「ああ、ずっとな・・・・・。俺を、幸せにしてくれよ・・・・・」
 透明な涙を指で掬い取る。
「あたしに、できる・・・・・?」
「お前にしか、出来ない・・・・・一つ、頼みがあるんだけど・・・・・」
「頼み?」
「そ・・・・・。去年のクリスマスパーティー、覚えてるだろ?」
 牧野が首を傾げる。
「船の上の?」
「ああ。あん時・・・・キスしたの、覚えてる?」
 途端に赤くなる牧野。

 桜子に借りたドレスを着た牧野はきれいで。
 柄にもなく照れてた俺をからかう牧野が憎らしくなって、その唇を奪った。
 『クリスマスプレゼント』だと言い訳して。

 「な、何で今そんなこと?」
「・・・・・あきらに聞いたんだけど。あきらには、自分からキスしたって?」
「そ・・・・・それはだって、西門さんがキスしたこと美作さんに言ったから・・・・・!」

 『まさか、本当に牧野からしてくれると思ってなかったけど。試しに言ってみて、得したってやつ?』

 あきらの言葉に、嫉妬した俺。
 自分が蒔いた種とはいえ、あきらに先を越されたようで気分が悪かった。

「俺には?」
「う・・・・・」
「俺にも、キスして。そうしたら、これから先どんなことがあっても、お前を守ってやるよ。命に代えても・・・・・な」
 そう言って笑うと、牧野は困ったように俺を見つめ・・・・・
 ちょっと肩をすくめると、口を開いた。
「そんなこと、必要ない・・・・・・」
 そう言って、俺の肩につかまり、ちょっと体を寄せると、俺の唇に触れるだけのキスをした。
「西門さんが傍にいてくれるなら・・・・・それだけでいいよ」
 俺は牧野を抱き寄せ、その肩に顔を埋めた。
「それなら・・・・・いくらでも叶えてやる」

 牧野も、牧野の子も・・・・・もちろん類も。
 俺が傍にいて、守ってやる・・・・・。








  

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