*あくまでも類つくですが、総つくっぽい展開になっています。このシリーズでは総二郎、あきらともこういった展開が出て来ますので予めご了承ください。今後の展開に必要なお話だと思っていますが、抵抗のある方は読まれるのをお止めください。読まれる場合は全て自己責任においてお願いいたします。クレームには応じられませんのでご承知おきを・・・・・。
-soujirou-
柔らかい唇を奪い尽くすように口付ける。
唇が離れても、その体を離すことが出来ない。
細い体は力いっぱい抱きしめたら折れそうで・・・・・
俺はその髪にキスを落とした。
「・・・・・馬鹿だな、お前」 「何よ、馬鹿って」 牧野が拗ねたように俺を見上げる。 「俺が・・・・・俺らが、お前のこと離すわけねえだろ?」 「・・・・・でも、いつかは離れていくよ」 「何でそう思うわけ?」 「だって・・・・・・」 俺は牧野の体を離すと、その小さな手を両手で包み込んだ。 「俺もあきらも、大学を出たら家を継ぐことは決まってる。俺はすぐに家元を継ぐわけじゃねえけど、家業に専念することは決まってる。そしていずれは親の決めた相手と結婚して子供作って・・・・・それぞれの家庭を持ち・・・・・お前とは疎遠になる。そう思ってるわけだ?つくしちゃんは」 俺の言葉に、牧野がぐっと詰まる。 まったく・・・・・ こいつは何でこうかわいいんだろう。 牧野は類を愛してる。 その気持ちに嘘はないし、類との子供が出来たことを喜んでいるのも本当だろう。 時折愛しそうにお腹に手を添える無意識の仕草。 本人も気付かないうちに母性が目覚めてるのだろう。 だけどきっと。 俺やあきらとの繋がりが、どんどん薄れていってしまうのを憂いでいるのも本当の気持ち。 ただの友達じゃない、特別な繋がりがあると、俺たちは思ってる。 それでも時の流れは、否応なく俺たちを引き離しにかかるだろう。 牧野は類と別れたりはしない。 俺たちもそれを望まない。 だから・・・・・
「・・・・・それでも、離れたりしねえよ」 俺の言葉に、牧野はその潤んだ瞳で見つめる。 「もちろん家に逆らうのは簡単なことじゃない。でも、お前はそんなこと心配しなくていい。決めるのはおれ自身だ」 「なんで・・・・・」 「そこまでするのかって?わかんねえか?」 不思議そうに俺を見つめる牧野。 俺はふっと笑って、牧野の髪を撫でた。 「・・・・・簡単なことだ。俺にはお前が必要だから。お前と会えなくなったら、俺は生きていけない」 その言葉に牧野の瞳が大きく見開かれ、頬が染まる。 「お、大袈裟だよ・・・・・」 「俺は、大真面目だぜ」 俺を見つめる瞳が揺れる。 「お前が幸せなら、それでいい。それも本気だ。だけど・・・・・お前から離れることは、できない。類に迷惑がられても、これだけは譲れない・・・・・」 「西門さん・・・・・」 「お前も、おんなじように俺達のことを思ってくれてるってことだろ?結ばれることはなくても・・・・・離れることはできない・・・・・。ちがうか?」 牧野が、ゆっくり首を横に振った。 「・・・・・違わない。あたし、西門さんとも、美作さんとも離れたくないの。こんなのただの身勝手だってわかってるのに、止まらなくて・・・・・どうしたらいいのか、わからなかった・・・・・」 「簡単なことだろ」 そう言って俺は、牧野の額に口付けた。 「ずっと・・・・・傍にいてくれればいい。類と、そのお腹の子と・・・・幸せになれ。俺は、その幸せをずっと見てる。それが、俺にとっての幸せだよ。俺のことを幸せに出来るのは、お前だけだぜ?これってすげぇことだとおもわねえ?」 牧野の瞳から、涙が一粒、零れ落ちた。 「傍に・・・・・いてくれるの・・・・・?」 「ああ、ずっとな・・・・・。俺を、幸せにしてくれよ・・・・・」 透明な涙を指で掬い取る。 「あたしに、できる・・・・・?」 「お前にしか、出来ない・・・・・一つ、頼みがあるんだけど・・・・・」 「頼み?」 「そ・・・・・。去年のクリスマスパーティー、覚えてるだろ?」 牧野が首を傾げる。 「船の上の?」 「ああ。あん時・・・・キスしたの、覚えてる?」 途端に赤くなる牧野。
桜子に借りたドレスを着た牧野はきれいで。 柄にもなく照れてた俺をからかう牧野が憎らしくなって、その唇を奪った。 『クリスマスプレゼント』だと言い訳して。
「な、何で今そんなこと?」 「・・・・・あきらに聞いたんだけど。あきらには、自分からキスしたって?」 「そ・・・・・それはだって、西門さんがキスしたこと美作さんに言ったから・・・・・!」
『まさか、本当に牧野からしてくれると思ってなかったけど。試しに言ってみて、得したってやつ?』
あきらの言葉に、嫉妬した俺。 自分が蒔いた種とはいえ、あきらに先を越されたようで気分が悪かった。
「俺には?」 「う・・・・・」 「俺にも、キスして。そうしたら、これから先どんなことがあっても、お前を守ってやるよ。命に代えても・・・・・な」 そう言って笑うと、牧野は困ったように俺を見つめ・・・・・ ちょっと肩をすくめると、口を開いた。 「そんなこと、必要ない・・・・・・」 そう言って、俺の肩につかまり、ちょっと体を寄せると、俺の唇に触れるだけのキスをした。 「西門さんが傍にいてくれるなら・・・・・それだけでいいよ」 俺は牧野を抱き寄せ、その肩に顔を埋めた。 「それなら・・・・・いくらでも叶えてやる」
牧野も、牧野の子も・・・・・もちろん類も。 俺が傍にいて、守ってやる・・・・・。
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