***Miracle Girl vol.9 〜F4×つくし〜***


「熱がある」

類の掌が、あたしの額に乗せられている。

冷たいその感触が心地よくて、思わず目を閉じる。

熱く、気だるい体は、どこか宙に浮いているような感覚だった。

4人の、心配そうな視線があたしを見つめているのがわかる。

「薬、あるのか?」

美作さんの言葉に、道明寺が首を振る。

「いや。あの船に置いておいたはずなんだけど、船のやつどっか行っちまってるからな」

あたしたち5人を乗せてきた船は、ここにたどり着いて3日ほど経ったころ、忽然と姿を消していた。

「どうする?病院に連れて行ったほうがいいかも知れねえぜ」

西門さんの言葉に、4人は顔を見合わせる。

「仕方ねえな・・・・・」

道明寺が息をつき。

4人が頷き、その場に立ち上がった。

こうして、5人での無人島生活は、ピリオドを打つことになる・・・・・。


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心地よい揺れに、ゆっくりと瞼を開ける。

広い部屋にはあたし以外誰もいなかった。

波の音に、ここが海の上だと気付く。

ここはどこだろうと考えていると、小さなノックの音と共に扉が開いた。

「あ、牧野、起きた?」

「花沢類。いつの間に船に?」

あたしの問いに花沢類はふっと微笑んだ。

「司が呼んだんだ。もうすぐ港につくよ」

「―――やっぱり、連絡出来たのね」

「ん・・・・・そのことはまた今度ちゃんと説明するよ。今はとにかく休んで」

類の言葉にあたしは頷き、再びベッドに横になった。

そっと目を閉じると、扉が閉じる音がして、足音が静かに遠ざかった。

体がだるかった。

F4に聞きたいことはたくさんあったけど、今はそれよりも眠りたかった。

何も考えず、ただ波に体を預けるように・・・・・



  

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