「熱がある」
類の掌が、あたしの額に乗せられている。
冷たいその感触が心地よくて、思わず目を閉じる。
熱く、気だるい体は、どこか宙に浮いているような感覚だった。
4人の、心配そうな視線があたしを見つめているのがわかる。
「薬、あるのか?」
美作さんの言葉に、道明寺が首を振る。
「いや。あの船に置いておいたはずなんだけど、船のやつどっか行っちまってるからな」
あたしたち5人を乗せてきた船は、ここにたどり着いて3日ほど経ったころ、忽然と姿を消していた。
「どうする?病院に連れて行ったほうがいいかも知れねえぜ」
西門さんの言葉に、4人は顔を見合わせる。
「仕方ねえな・・・・・」
道明寺が息をつき。
4人が頷き、その場に立ち上がった。
こうして、5人での無人島生活は、ピリオドを打つことになる・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
心地よい揺れに、ゆっくりと瞼を開ける。
広い部屋にはあたし以外誰もいなかった。
波の音に、ここが海の上だと気付く。
ここはどこだろうと考えていると、小さなノックの音と共に扉が開いた。
「あ、牧野、起きた?」
「花沢類。いつの間に船に?」
あたしの問いに花沢類はふっと微笑んだ。
「司が呼んだんだ。もうすぐ港につくよ」
「―――やっぱり、連絡出来たのね」
「ん・・・・・そのことはまた今度ちゃんと説明するよ。今はとにかく休んで」
類の言葉にあたしは頷き、再びベッドに横になった。
そっと目を閉じると、扉が閉じる音がして、足音が静かに遠ざかった。
体がだるかった。
F4に聞きたいことはたくさんあったけど、今はそれよりも眠りたかった。
何も考えず、ただ波に体を預けるように・・・・・
|