***Miracle Girl vol.7 〜F4×つくし〜***


「お前、それ虫刺され?」

「へ?」

道明寺の視線の先、自分の胸元を見ると、そこに赤い花弁のような痕。

「気をつけろよ、そこ、意外と目立つぜ」

「そお?気づかなかったよ、あたし」

自分の胸元なんて、そんなじっくり見るもんじゃないし。

こんな無人島じゃ姿見なんてないし。

道明寺が、1歩あたしに近づく。

「人から見たら、最初に目に付く―――」

ぴたりと足を止める。

その視線は徐々に険しくなっていって・・・・・

「お前それ・・・・・キスマークか・・・・・?」

「は?何言ってんの?そんなわけ―――」

「誰だ!?」

道明寺の両手があたしの肩を掴み、その強い力にあたしは顔をしかめた。

「痛いってば!」

「お前いったい誰と!!」

「違うって言ってんでしょうが!!離してよ!!」

冗談じゃない。

キスマークなんて、つけられるようなことした覚えないっつーの!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あ、それ、おれ」

にっこりと、無邪気に微笑む類に、思わず固まる。

「―――って、いつの間に!?」

道明寺に指摘された、胸元のキスマーク。

まるっきり身に覚えのないあたしは、絶対に虫刺されだと言い張ったのだけれど。

道明寺はまったく信じてくれなくて・・・・・。

「昨日の夜、2人で砂浜にいたとき、牧野俺に寄りかかったままうとうとしただろ」

「そう―――だっけ?」

「うん。その寝顔があまりにもかわいくって、我慢できなかった」

「我慢できなかったって・・・・・!まさか、それ以上のことはしてないでしょうね?」

「それ以上のことって?」

「え・・・・・」

類が一歩、あたしに近づく。

「たとえば、どんなこと?」

「や、だから・・・・・」

後ろ向きに逃げようとしたあたしは、すぐに類の腕の中に捉えられてしまう。

すぐ間近に、魅惑の笑みを浮かべた花沢類。

「・・・・・これから、実践してみようか・・・・・?」

近づいてくるそのビー玉のような瞳に。

あたしは思わず、目を閉じた・・・・・。



  

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