***Miracle Girl vol.6 〜F4×つくし〜***


「牧野、こんなところにいたの」

振り向くと、類がいた。

「うん。目が覚めちゃって。日の出、見てたの」

類はにっこり微笑むと、あたしの隣に座った。

この砂浜で、こうして朝日を見るのも何度目だろう。

「もう2週間か。早いね」

「助けって、なかなか来ないんだね。道明寺家が動けば、すぐに見つかるかと思ったのに」

「・・・・・わざと、そうしてるのかもね」

類の言葉に、あたしは目を見開く。

「わざと!?」

「何か、考えがあるのかもしれないって思ったんだ。単なる勘だけどね」

こんな無人島に、あたしたち5人を置き去りにして、いったい何を考えてるっていうんだろう・・・・・?

やっぱり金持ちの考えることはわからない、とあたしは首を傾げるしかなかった。

「でも俺は、こうして牧野と過ごせる事ができて嬉しいと思ってるけどね」

そう言って、甘い眼差しであたしを見つめる類。

どきんと、胸が高鳴る。

「な、何言ってるの」

「司とは婚約解消したんだから、俺にも牧野を口説く権利あるよね?」

あたしの手に類の手が重なる。

「権利って―――」

類から離れようとするあたしを逃がすまいとするかのように、類がぐっとあたしの手を引き寄せる。

「好きだよ、牧野・・・・・」

避ける間もなく、重ねられる唇。

誰もいない浜辺。

静かな波の音だけが、耳に響いていた・・・・・・。


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「いつになったら助けがくるのかなあ?」

あたしの呟きに、薪にする枝を折りながら、道明寺が顔を上げた。

「ああ?何言ってんだ?」

「だって、もう3週間だよ?そろそろ助けが来てもいいころじゃない?」

「―――こねえよ」

ぼそっと呟かれた道明寺の言葉に、一瞬固まる。

「―――今、なんて?」

「助けなんか、こねえつってんの」

「ど・・・・・どういうこと?あんた、何か知ってるの?」

道明寺が、肩をすくめる。

「まあな」

「って・・・・・なんで助けが来ないのよ!?」

「まだ勝負がついてねえからな」

「はあ?何よそれ、何の勝負?いつまでここにいるのよ?」

「お前が、F4の中から誰か1人を選ぶまで」


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「逃げるなよ」

西門さんに腕を掴まれ、あたしはそれ以上離れられなくなる。

「だって、無理だよ。F4の中から誰か1人を選ぶなんて」

「無理じゃねえよ。お前が俺らの中の誰が好きか、はっきりさせればいいだけだ」

「簡単に言わないで」

「簡単なことだ。自分の胸に聞いてみりゃいい。そうじゃなきゃ・・・・・」

一瞬、怪しげな笑みを浮かべた後、あたしを抱きしめる西門さん。

「ちょ・・・・・、離して!」

慌てるあたしの耳元に、西門さんの甘い声が響く。

「俺が、お前の体に聞いてみてもいいけど・・・・・?」


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「あせんなくてもいいんじゃね?ここの生活もそこそこ楽しいし」

「何のんきなこと言ってんのよ!」

「それじゃあ俺にしとけば?」

にやりと妖しげな笑みを浮かべる美作さん。

「そんなこと、できないってば」

「だからさ、ゆっくり考えればいいじゃん」

肩をすくめる美作さんに、あたしはため息をついた。

そんなのんびり構えてらんない。

あたしのことを好きだと言っているF4とこの無人島に流れ着いて。

4人のうち1人を選ばないとここから脱出できないなんて。

罰ゲームじゃないんだから!

「俺は、お前の気持ちを素直に聞くつもりだけど?」

「え?」

「選ばれるのが俺でも、そうじゃなくても。お前が幸せになるならそれでいい」

そう言って微笑む美作さんの笑顔にどきんとする。

「こんな優しい俺に、惚れちゃいそうだろ?」

にっこりと微笑む美作さんに。

思いっきり蹴りを入れてやったのは、言うまでもない・・・・・


  

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