***Miracle Girl vol.5 〜F4×つくし〜***


無人島で2人きりになるとしたら、誰がいい?

いつだったか、滋さんに聞かれたことがある。

F4の中で、誰か1人だけ。

その時はなんて答えたっけ?

浮世離れした人たちだから、誰が相手でも苦労しそう。

そう思ったのは覚えてる。

まさか、それが現実になるなんて。

でもその相手が1人じゃなくて、4人全員だったのはよかったのか悪かったのか・・・・・

そしてあたしはこの場所で、彼らの本音を知ることとなる・・・・・

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「ちょっと花沢類!寝てばっかりいないで手伝ってよ!」

F4と無人島に流れ着いて1週間。

毎日水の確保と食料の調達に四苦八苦しているあたしたち。

それでも花沢類のマイペースは相変わらずだった。

「海に潜って、魚捕まえてきてよ」

「簡単に言うけど、結構難しいんだよ」

「わかってる。でも、花沢類が一番うまいんだもん。他の3人には森のほうに行ってもらったから」

「・・・・・めんどくさ」

「花沢類!」

「わかったよ・・・・・でも、1つ条件」

そう言ってあたしを見つめる瞳に、どきりとする。

「な、何?」

途端に手を引っ張られる。

「キス、したい」

そして掠めるようなキスを1つ。

真っ赤になったあたしを満足そうに見て。

「じゃ、行って来るよ」

にっこりと天使の笑顔を残して、海へと走っていった・・・・・。

残されたあたしが、暫く固まっていたのは、言うまでもない・・・・・。


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「これ、もう火ぃつかねえぞ」

道明寺が、持っていたライターを放り投げた。

「とうとう?じゃあやっぱり火を起こさないと」

西門さんが持っていたライター。

それが使えなくなるまでには助けが来ないかと、微かに残っていた望みも絶たれてしまった。

「俺がやんのか?」

道明寺のうんざりした表情に、あたしは肩をすくめた。

「仕方ないじゃない。今あんたとあたししかいないんだから。急がないと、日が暮れちゃうよ」

「・・・・・お前と2人きりだったら、それもまた楽しかったけどな」

さりげなくあたしに近寄ってきた道明寺にぎょっとして、思わず後ずさる。

「な、何言ってんのよ!くだらないこと言ってないで早く火を起こして!」

「心配すんな。それくらいあっという間にやってやるから」

じりじりとにじり寄ってくる道明寺に、大きな木を背に、逃げ場をなくすあたし。

その両脇に手をつき、間近に迫ってくるきれいな顔。

「言っておくが、この俺から逃げられると思うなよ?」

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「この草は、何に使うの?」

あたしの言葉に、西門さんが顔を上げる。

「それは薬草。擦りむいたりなんかしたとき、傷口に塗るんだよ」

「へえ。それにしても、良くそんなことまで知ってたね。驚き」

「一応な。英才教育の中で、そんなことも教えてもらった。今の世の中、何があるかわからねえし。早速役に立ったってわけだ」

にやりと笑う西門さん。

意外と頼りになるその姿に、あたしもちょっとどきどきしていた。

「えっと、じゃあこっち・・・・・」

なんとなく緊張して、あたしはその場から動こうとして―――

「あぶねえ!」

ぐいっと、突然腕を引っ張られ、あたしは体のバランスを失った。

「わっ」

とっさに西門さんの腕につかまり、西門さんに抱きつくような格好に。

慌てて離れようとするあたしの肩を、さらにぐっと抱き寄せる。

「な―――」

「そこに、毒草がある」

「ど、毒草!?」

「かぶれるくらいだけどな。けど、2,3日は引かない強力なやつだから、気をつけろ」

「あ、ありがとう・・・・・。あの・・・・・そろそろ離してくれない・・・・・かな?」

どきどきしながらそう言うあたしの顔を、にやりと笑みを浮かべ覗き込む西門さん。

「俺に、ときめいちゃったりしてる?」

「ば、馬鹿!そんなこと―――!」

「俺は、ときめいてるよ。お前に―――」

そして次の瞬間。

西門さんの唇が、あたしの唇に重なっていた・・・・・。

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「この水ってもう飲めるの?」

500mlのペットボトルに溜った水は、とても綺麗に見えた。

「ああ、ろ過してあるからな」

「凄いね、美作さん。こんなの作れるんだ」

「誉めても何も出ねえぞ」

にやりと笑う美作さん。

「違うよ。本当に感動してるの」

「飲んでみてもいいぜ」

「え、いいよ!貴重な水なのに」

「水分取らなきゃ人間生きていけねえからな。喉が渇いたらちゃんと飲めよ」

「うん、ありがとう。優しいね、美作さん」

あたしの言葉に、美作さんはちょっと笑ってあたしを見た。

「お前に死なれたら困るからな」

あたしを見つめるその甘い瞳にドキッとする。

「お前と2人きりじゃないのが残念だよ」

「な、何言ってるの。みんな一緒だから協力しあえるんじゃない」

「もしお前と2人きりだったら・・・・・俺が、命に代えても守ってやるよ」

その瞳は真剣で・・・・・冗談を言っているようには思えなかった・・・・



  

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