迎えに来た船に、あたしと一緒に乗り込む3人。
「一緒に行ってくれるの?」
あたしの言葉に、3人は苦笑しながら頷いてくれた。
「お前に任せたら、見合いぶち壊した揚句に類を誘拐してきかねねえからな」
西門さんの言葉に、あたしはむっと顔をしかめた。
「そんな無茶しないよ」
「どうだか。お前ならそのくらいやりかねねえ」
そう言って道明寺が笑った。
その横で、ため息をつきながら頷いてるのは美作さん。
「ありえるな。俺たちはそんなお前のお目付け役ってところだ」
「お目付け役・・・・・」
「そういうこと。せっかく俺たちの親がみんなお前との結婚を認めてるんだ。それを自分からぶち壊すこともねえだろ」
西門さんがにやりと笑う。
「でも・・・・いいの?あたしは類の・・・・・」
類のお見合いが気になって、じっとしてられなくなったあたし。
それが類が好きだからなのか、友達として心配だからなのか、自分でもまだよくわからないけれど。
それでも、それが気になって会いに行くとなれば「類のことが好き」なのだととられても仕方がないわけで。
「面白くはねえな」
道明寺が言うけれど、その表情は穏やかだ。
「けど、言っただろ?俺たちはお前がだれを選んでもそれを受け入れる覚悟はできてるって。もしその相手が類だとしても・・・・・」
「大事なのは、お前の幸せなんだよ。だから、俺たちはどこまでもお前の味方ってことだ」
そう言って微笑む3人が、この上なく輝いて見えた・・・・・。
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ようやく船が港につき。
また船酔いでフラフラ状態のあたしとF3を待っていたのは―――
「お待ちしておりました」
そう言って深々と頭を下げる、黒いスーツに身を包んだ男性。
「田村か。てことは、類の指示か?それとも社長の?」
道明寺が声をかける。
そうだ。確か彼は、類の会社の―――
「両方でございます。お迎えに行くようにと」
そう言って穏やかに微笑むと、田村さんはリムジンの扉を開けてくれた。
リムジンに乗り込むと、静かに走り出し、最初に口を開いたのは西門さんだった。
「両方の指示ってことは―――見合いはフェイクか?」
「どうかな。類と類の親父の間でひと悶着あったってことかもしれねえぜ」
美作さんの言葉に道明寺も頷いた。
「そっちだな。だいたいあの頑固親父がそう簡単に牧野との結婚を許すとも思えねえ」
「頑固―――なの?」
あたしの言葉に、3人が顔を見合わせた。
「ま、相当厳しいことは確かだな」
その言葉に―――
あたしは、胃がきしむのを感じたのだった・・・・・・
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