「だから、やっぱり牧野は俺と結婚するべきだと思うよ?」
そう言って、類がにっこりとほほ笑んだ。
なんでだか、政略結婚を回避するという話で落ち着きかけたころ、そう切り出したものだから他の面々がまた色めき立つ。
「おい、類何言ってんだよ」
血の気の多い道明寺が食って掛かると、類は穏やかに微笑みながら話し始めた。
「だって、俺は1人っ子だから。みんなのとこみたいに他の兄弟に継いでもらうってことできないし。親戚っつっても遠縁ばっかりだから。もし花沢を俺が継ぐとしたら、牧野と結婚できないなら花沢は俺の代で終わりだよ」
何でもないことのように言われて。
F3も溜め息をついた。
「きったねえやつだな」
「最初からそれが狙いだろ」
西門さんと美作さんの言葉にも、ひょいと肩をすくめて笑みを返す。
「でも、そうするのが妥当だと思わない?」
「待てよ。それはあくまでも牧野がだれも選ばなければ、って話だろ?牧野が誰か1人を選ぶなら―――また話は違うだろ?」
F4の視線が一斉にあたしに注がれて。
あたしは思わず後ずさる。
「あの―――ごめん。もうちょっと・・・・・考えさせて」
そう言うのが、やっとだった・・・・・
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本当に好きな人と結婚したい。
それが正直な気持ちだ。
だけど、F4の中の誰が好きかと聞かれたら―――
「全員が好き、だなんて言ったら世のF4ファンに殴られそうだな・・・・・」
窓から星を眺めながら、そう1人呟く。
でもこうして毎日F4と密に接して。
迫られて困ることも多いけれど、4人の魅力を再認識させられることも多くて。
4人の、それぞれの魅力に毎日ドキドキさせられているのだ。
言ってみれば、毎日4人に恋の手ほどきを受けているかのようで。
1人に絞るどころか、ますます迷わされている状況だ。
「あたしって、こんなに気が多かったんだ・・・・・」
自己嫌悪の溜め息も、毎日のことだ。
誰も選べなければ、表面上は花沢類と結婚して、実際はF4で共有。
「それもいいかもね・・・・・」
半ば諦め半分で、そう呟いたのだった・・・・・
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