誰か1人を選べないなら、F4で共有。
それって結局あたしはF4の愛人になるってこと?
とうんざりしたけれど。
でも、愛人とは違うんだって。
仲間であり、恋人であり、家族である。
そんな存在なんだって。
「本当はこのお城にずっと住んでたっていいと思ったんだけど」
と、類が言った。
「けど、それじゃあ牧野も家族や女友達と会えなくて寂しいだろうから。それはやめようって話になったんだ」
「で・・・・・たとえばそれで美作さんと結婚したとして、3人はちゃんと他の人と結婚するの?」
あたしの問いに、4人は肩をすくめた。
「おふくろとの約束だからな」
と道明寺。
「俺は結婚しないよ」
と言ったのは類。
「俺は結婚はするよ。そういう約束だからな」
と、西門さん。
美作さんが言った。
「これは、契約なんだよ。お前に選ばれなければ結婚する。もしくは縁談だけ受けるっていう。その家の、会社の中の1人としての契約。だから、結婚も仕事ってこと」
「そんなの・・・・・」
あたしには到底理解できない。
結婚を仕事として考えなくちゃいけないなんて。
そして。
そんな、仕事としての結婚なんか、彼らにしてほしくない。
そのために、あたしにできることって・・・・・?
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「だって、納得できないもん。好きでもない人と結婚しなくちゃならないなんて」
「だから、それが仕事なんだって」
美作さんの言葉に、それでも首を振る。
「だって、その人と人生を共にするんだよ?好きでもない人とそんなことができるの?相手の人にだって・・・・・失礼だよ」
あたしの言葉に、F4は顔を見合わせた。
「じゃあ、お前はどうするのがいいと思うわけ?」
西門さんが言う。
「・・・・・結婚しない、っていうわけにいかないの?」
「そうできればそうしてる。さっきも言ったけど、これは仕事だ。それを条件に、俺らはここに来てるんだぜ」
道明寺が厳しい声でそう言う。
それはわかってる。
だけど、やっぱりそんなの納得できないよ。
あたしが考え込んでいると、横にいた類が口を開いた。
「結婚しなくていい方法は、1つだけだよ」
「え・・・・・あるの?」
あたしは驚いて類の顔を見上げた。
「本来、妻がやるべき仕事―――接待とか、管理みたいなものすべて、自分でこなせばいい。1人ではどうしても無理な部分は秘書に任せる。いわゆる大物がすべて、結婚してるわけじゃない。独身貴族だってたくさんいる。人にできて、俺たちにできないわけがない。違う?」
妙に自信たっぷりな類の言葉に。
あたしたちは全員一瞬固まっていたのだった・・・・・
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