***Miracle Girl vol.20 〜F4×つくし〜***


「俺も、実際のところ結婚なんてどうでもいいって思ってたんだけどな」

そう言って西門さんはソファーに身を沈め、その長い足を投げ出した。

「けど、お前のこと考えたら―――他のやつと結婚なんて、してほしくないって思った。で、俺自身も、お前以外のやつとは結婚したくないって思ったんだ」

「でも・・・・・」

「わかってる。お前が俺を選ばなきゃ、いずれはそうなるって。正直、そん時の状況は想像したくねえけど。でも、お前が選んだことならそれを受け入れるしかねえとは思ってるよ」

「なんか、すごいプレッシャー感じるんだけど」

「だろうな。あいつらとも話してたんだ。いま俺たちがやってることは、おまえを苦しめてるだけなんじゃないかって」

そう言って、西門さんはあたしに視線を落とした。

「だから、協定を結ぼうかと思ってるんだよ」

「協定?」

「ああ」

なんとなく、聞くのが怖いような・・・・・

「それって・・・・・どんなの?」

「お前が誰か1人を選べないんなら、F4で共有しようかって話」

この人たちの頭の中は一体どうなってるんだろうと、思わずにはいられなかった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「要するに、お前は俺と結婚するんだよ」

美作さんが、あたしを見てにっこりと微笑む。

「なんでそうなるの?」

「それが一番無難だから。司のところは絶対一番大変だろ?家自体もそうだけど、加えてあの母親だ。たぶん、結婚しても苦労が多いだけだ」

それはそうだろうということはわかる。

道明寺との婚約を解消した理由の一つでもあるし。

「類のところも、親父さんがかなり厳しい人だからな。お前とぶつかることはまず間違いない」

「会ったことないけどね・・・・・」

「それから総二郎のところも。お茶の世界はたぶん一般庶民には想像のつかない世界だぜ」

「でしょうね」

「そうなると、一番ましなのは俺の家ってわけだ」

「ましって・・・・・」

「おやじは忙しいし、たぶん俺も海外に行くことが多くなるけど、その分家では自由だ。うちでは母親や妹の相手をしててくれればいいし、習い事も好きにしていい。もちろんパートナーとしてやらなくちゃいけないことはあるけど、心配しなくても俺や母親のいうことを聞いてくれれば問題ないし」

「待ってよ。でも、それであたしをF4で共有って、どういうことなの?」

「俺の家には、あいつらは出入り自由だ。俺がいなくても、勝手に来て寛いでやがる。だから、結婚してたって、だれが家に来てても誰も気にしない。妙な噂も立てられにくいってわけだ」

「あたしに―――そういう生活しろっての?」

「お前が1人だけを選べないって言うんなら、の話だよ」

そう言ってにやりと笑う美作さん。

その後ろにF3の笑顔。

これは・・・・・・

またあたし、嵌められてるんじゃないんだろうかと、頭を抱えるのだった・・・・・・。



  

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