***Miracle Girl vol.2 〜F4×つくし〜***


 -tsukushi-

「お前ら、俺をナメてんのか?」

道明寺の額に、青筋が浮かぶ。

「別に、なめちゃいねえけど」

肩を竦めて、西門さんが答える。

「俺のいねえ間に何があった?」

「何って言われても・・・・・」

と首を傾げる花沢類。

「ま、なるべくしてなったって感じ?」

と、穏やかに微笑む美作さん。

「だから、なんで!!」

道明寺が、わなわなと震え始める。

あたしは見て見ない振り・・・・・。

「3人とも牧野に惚れたって、どういうことだよ!!」

道明寺の言葉に3人は顔を見合わせ・・・・・

「相変わらずものわかりの悪いやつ」

「好きなものは好きなんだから、しょうがないでしょ」

「言っとくけど、俺たちは手ごわいぜ?」

F3の不敵な笑みに、道明寺は言葉をなくし・・・・・

あたしはこれから起こるであろうバトルに、天を仰いだのだった・・・・・・。


 -akira-

家に帰ると、牧野がリビングで眠りこけていた。

「疲れてたみたいなの。起こすのかわいそうだから、このまま泊まってもらったらどうかしら」

どうかしらって・・・・・

母親の言葉に、俺は絶句する。

「あきら君、客間に運んであげてくれる?」

「・・・・・わかった」

俺は牧野を横抱きにし、部屋まで運ぶとベッドに横たえた。

スースーと穏やかな寝息。

無邪気な寝顔が、天使のようにも見えた。

胸が高鳴る。

そっとその頬に触れてみれば、微かに睫が震える。

僅かに開かれたその唇に誘われるように、そっと口付けた・・・・・。

「「おにいちゃま!!」」

突然勢いよく開かれた扉。

おれは慌てて牧野から離れる。

「「つくしおねえちゃまと一緒に寝てもいい?」」

天使の笑顔の小悪魔たちに、思わず溜息が漏れていった・・・・・


 -tsukushi-

「あきらの家に泊まったって本当?」

怒りを含んだ類の視線にドキッとする。

「と、泊まったっていうか―――」

「泊まったの?」

「つい、寝ちゃって、よく覚えてな―――」

「泊まったんだね」

「―――――うん」

じっとあたしに注がれる視線。

類が怒っているのが伝わってくる。

でも、あたしと類は付き合ってるわけじゃないし。

そんなに怒らなくても・・・・・。

「美作さんのお母様と一緒におしゃべりしてたらつい、長居しちゃって・・・・・。気付いたらあの双子ちゃんと一緒にベッドに寝かされてて・・・・・そのベッドがまたふっかふかで気持ちよくって、だから熟睡しちゃったんだよきっと」

あたしは悪くない、なんて思っててもつい言い訳しちゃうから、また余計に睨まれたりするのかな・・・・・。

「双子の部屋・・・・・ってことは、あきらは一緒じゃなかったってこと?」

「あ、当たり前じゃない!何で―――」

泊まるにしたって、美作さんの部屋のわけないのに。

「よお牧野。昨日はよく眠れたか?」

後ろから聞こえた声に、あたしははっとして振り向いた。

「美作さん!」

「お前、寝顔は意外とかわいいんだな」

「は!?」

「・・・・・あきら、それどういうこと」

また一段と、類の声が低くなる。

その言葉に、美作さんがにやりと笑う。

「妹たちを寝かしつけるのは、俺の役目だから」

そして一瞬、2人の間に火花が散る。

「楽しい夜を、過ごさせてもらったよ」

美作さんのその言葉に、類が顔を顰め・・・・・・

確かに、何かがぶちっと切れる音がした・・・・・。



「あきらの家に泊まったって?」

突然目の前に現れた西門さんが、鋭い視線であたしを睨む。

「何でそれ・・・・・」

「んなことどうでもいい。何考えてんだよ、お前」

「何って・・・・・だって、気付いたら寝ちゃってたんだもん」

「寝ちゃってた、じゃねえだろ!?それじゃあ襲ってくださいって言ってるようなもんじゃねえか!」

「い、言ってないよ、そんなこと!」

「あきらだったらそう受け止める」

「何でそんなこと」

「俺があきらの立場だったらそう思うからだ!」

「威張らないでよ!」

「とにかく」

ぐっと手首を掴まれる。

「な、何・・・・・」

「俺を怒らせた責任、取ってもらおうじゃねえか」

にやりと口の端をあげて笑った西門さんの顔は。

ぞっとするほど殺気を帯びているように見えたのは、あたしの気のせいだろうか・・・・・



  

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