-rui-
「よお、類」
「・・・・・なんで総二郎がいるの?」
牧野のアパートを訪ねた俺を出迎えたのは、なぜか総二郎だった。
「大学の帰りに拾った。ちょうど帰るところだったから」
しゃあしゃあと言ってのける総二郎。
「方向、逆でしょ?」
「ま、細かいこと気にすんなよ」
にやりと笑うその表情に、カチンと来る。
当の牧野は俺が来たのを見て、いそいそとコーヒーなんか入れてる。
「花沢類、上がってよ。今コーヒー入れたから」
俺は靴を脱ぐと、部屋に入りちゃぶ台の横に座った。
「ちょうど良かった。今、電話しようかなって思ってたところなの」
「俺に?何か用事だった?」
「ていうか、西門さんが今夜飲みに行こうって言うからさ。類も誘おうかなって思ってたの」
にっこりと微笑む牧野を見て。
横にいた総二郎に視線を移す。
『チッ』
という舌打ちが聞こえてきそうな表情で、俺から目を逸らす総二郎。
―――ふうん。なるほどね・・・・・
そういうことなら、俺だって受けて立つよ。
勝負はこれから。
最初に言っておくけど。
負けるつもりは、ないからね。
-akira-
珍しく、牧野からメールが届いた。
『暇だったら、一緒に飲もう!』
そんなメールだけで有頂天になるなんてどうかしてる。
それでも、指定されたクラブへ急いでいくと・・・・・。
「よう、あきらも来たのか」
にやりと笑って迎えたのは総二郎だった。
そしてその横には仏頂面の類。
「あ、よかった!美作さん!」
牧野が飛び出してきて、俺の腕を取る。
「おい・・・・」
文句を言おうとして口を開くと、牧野が小声で囁いた。
「ごめん、あの2人なんか険悪で・・・・・。お願い、帰らないで」
上目遣いでお願いされれば、いやとはいえない。
けど・・・・・
目の前の2人を見て。
険悪な理由がわかってしまえば、深い溜息が漏れていく。
「・・・・・悪かったね、俺たちもいて」
類が言えば、総二郎もにやりと笑う。
「がっかりしてんのが、丸わかりだぜ」
「・・・・・別に。勝負はこれから、だろ?」
そう言って笑って見せる。
かなり無理してるけど・・・・・・
でもここで、戦線離脱してる場合じゃねえよな。
覚悟しとけよ、牧野・・・・・。
-tsukushi-
「・・・・・酔ってて、何も覚えてないんだもん」
「・・・・・いい度胸だよな。この道明寺司様相手に、その言い訳か」
「本当のことだから」
「酔ってましたで済まされる問題かよ!?」
「怒鳴らないでよ!」
「説明しろ!!何で類のベッドで、お前と類と・・・・あきらや総二郎まで一緒に寝てるんだよ!?」
大きなクイーンズサイズのベッドに、並んで寝ているF3。
夕べ4人で飲んだとこまでは覚えてるけど、途中からは記憶がない。
まさか、こんなときに限って道明寺が日本に帰ってきて、しかも類の家に来るなんて。
「おい!!てめえら起きろ!!」
道明寺にどやされて、3人が目をこすりつつ起き上がる。
「何だ、司かよ」
「朝っぱらからうるせえぞ」
「・・・・・司、おはよう」
「・・・・・お前ら・・・・・ずいぶん舐めた真似してくれるじゃねえか」
道明寺の額に青筋が浮かぶ。
「牧野を酔わせて・・・・・何しやがった?」
道明寺の言葉に、3人は顔を見合わせ・・・・・
「そりゃ、その場合することは1つだろ」
「4人で楽しい夜を」
「牧野は、F4のものだからね」
3人の不敵な笑みに、道明寺の怒りが爆発したのは言うまでもない・・・・・。
|