***Miracle Girl vol.1 〜F4×つくし〜***

 -rui-

 「よお、類」
「・・・・・なんで総二郎がいるの?」

 牧野のアパートを訪ねた俺を出迎えたのは、なぜか総二郎だった。

 「大学の帰りに拾った。ちょうど帰るところだったから」

 しゃあしゃあと言ってのける総二郎。

「方向、逆でしょ?」

「ま、細かいこと気にすんなよ」

 にやりと笑うその表情に、カチンと来る。

 当の牧野は俺が来たのを見て、いそいそとコーヒーなんか入れてる。

「花沢類、上がってよ。今コーヒー入れたから」

 俺は靴を脱ぐと、部屋に入りちゃぶ台の横に座った。

「ちょうど良かった。今、電話しようかなって思ってたところなの」

「俺に?何か用事だった?」

「ていうか、西門さんが今夜飲みに行こうって言うからさ。類も誘おうかなって思ってたの」

 にっこりと微笑む牧野を見て。

 横にいた総二郎に視線を移す。

『チッ』

 という舌打ちが聞こえてきそうな表情で、俺から目を逸らす総二郎。

 ―――ふうん。なるほどね・・・・・

 そういうことなら、俺だって受けて立つよ。

 勝負はこれから。

 最初に言っておくけど。

 負けるつもりは、ないからね。


 -akira-

 珍しく、牧野からメールが届いた。

 『暇だったら、一緒に飲もう!』

 そんなメールだけで有頂天になるなんてどうかしてる。

 それでも、指定されたクラブへ急いでいくと・・・・・。

 「よう、あきらも来たのか」

 にやりと笑って迎えたのは総二郎だった。

 そしてその横には仏頂面の類。

 「あ、よかった!美作さん!」

 牧野が飛び出してきて、俺の腕を取る。

 「おい・・・・」

 文句を言おうとして口を開くと、牧野が小声で囁いた。

 「ごめん、あの2人なんか険悪で・・・・・。お願い、帰らないで」

 上目遣いでお願いされれば、いやとはいえない。

 けど・・・・・

 目の前の2人を見て。

 険悪な理由がわかってしまえば、深い溜息が漏れていく。

 「・・・・・悪かったね、俺たちもいて」

 類が言えば、総二郎もにやりと笑う。

 「がっかりしてんのが、丸わかりだぜ」

 「・・・・・別に。勝負はこれから、だろ?」

 そう言って笑って見せる。

 かなり無理してるけど・・・・・・

 でもここで、戦線離脱してる場合じゃねえよな。

 覚悟しとけよ、牧野・・・・・。


 -tsukushi-

 「・・・・・酔ってて、何も覚えてないんだもん」

 「・・・・・いい度胸だよな。この道明寺司様相手に、その言い訳か」

 「本当のことだから」

 「酔ってましたで済まされる問題かよ!?」

 「怒鳴らないでよ!」

 「説明しろ!!何で類のベッドで、お前と類と・・・・あきらや総二郎まで一緒に寝てるんだよ!?」

 大きなクイーンズサイズのベッドに、並んで寝ているF3。

 夕べ4人で飲んだとこまでは覚えてるけど、途中からは記憶がない。

 まさか、こんなときに限って道明寺が日本に帰ってきて、しかも類の家に来るなんて。

 「おい!!てめえら起きろ!!」

 道明寺にどやされて、3人が目をこすりつつ起き上がる。

 「何だ、司かよ」

 「朝っぱらからうるせえぞ」

 「・・・・・司、おはよう」

 「・・・・・お前ら・・・・・ずいぶん舐めた真似してくれるじゃねえか」

 道明寺の額に青筋が浮かぶ。

 「牧野を酔わせて・・・・・何しやがった?」

 道明寺の言葉に、3人は顔を見合わせ・・・・・

 「そりゃ、その場合することは1つだろ」

 「4人で楽しい夜を」

 「牧野は、F4のものだからね」

 3人の不敵な笑みに、道明寺の怒りが爆発したのは言うまでもない・・・・・。



  

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