「しょうがねえだろ?あんな騒ぎになったんじゃ、お前と会うのもままならねえ」
開き直ったような道明寺の態度に、怒るのも忘れて呆れる。
「だからって、何であの島に・・・・・」
「あそこは俺んちの庭も同然。マスコミもあそこには入ってこれねえからな。ちょうど良いだろ」
「―――広い庭だこと」
確かに、あのまま家にいたらきっと夏休み中家から出られないだろうし、休みが明けても大学にいけるかどうか・・・・・。
大学と、4人の争奪戦という問題さえなければ無人島生活も悪くはない気がしてくるけれど・・・・・。
「またサバイバル、するのか」
と呟くと、道明寺がにやりと笑った。
「サバイバルなんかしねえよ」
「え?だって・・・・・」
「あそこには俺んちの別荘があるんだよ。これからはそこで5人で生活する」
「ええ?」
「サバイバルは、やむを得ず無人島に漂着したってことをお前に信じさせるため」
「はあ?」
「今度は、必要なものは何でもあるから、安心しろ」
その言葉に。
あたしは深い溜め息をついたのだった・・・・・。
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「ある意味お前にとっちゃラッキーだろ?今度は1人1人にちゃんと部屋があって、鍵もついてる」
西門さんの言葉に、あたしはあいまいに頷いた。
「それはそうだけど。でも、いつまであそこにいるの?」
再び無人島に向かう船の上。
どこまでも続く青い海を、西門さんと2人眺めていた。
「だから、お前が誰かを選ぶまで」
「誰かって言ったって・・・・・」
F4は大切な仲間。
友達とか、ボーイフレンドなんていう言葉では片付けられない、大事な存在だ。
その4人の中から、誰か1人を選ばなくちゃならないなんて・・・・・。
「お前の気持ちは、わかってるよ」
西門さんの優しい声に、顔を上げる。
いつになく優しい瞳が、あたしを見つめてた。
「だけど、このままだと俺らは4人とも、親の用意した縁談を受けて、お前以外の好きでもない女と結婚しなくちゃならない」
その言葉に、あたしははっとした。
「それは、ジュニアだったら仕方がないこと。ずっとそう思ってきたけどな」
「西門さん・・・・・」
「けど、家や会社のために身を固める前に。俺たちは、お前に賭けてみたかったんだ」
その真剣な眼差しから。
あたしは目をそらすことができなかった・・・・・。
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