「黒沼!」
「あ、風早くん、おはよう」
教室に入ってきた爽子はいつものように笑顔で翔太に言った。
いつもと何ら変わりない、爽子の笑顔。
その笑顔にちょっとホッとして―――
それでも、さっきの校門での光景を思い出すと、やはり落ち着かない。
「あ、あのさ、さっきの―――」
「え?」
その時だった。
「ちょっと爽子ー!何あのイケメン、あんたのいとこだって?」
翔太の後ろから顔を出したあやねと千鶴が爽子に迫る。
「え―――?あ、窓から見えたの?」
「見えた見えた!全然似てないんだけど、あれって本当にいとこ?実は血ィ繋がってなかったりしないの?」
完全に千鶴は面白がっているが、聞いている翔太の心臓はさっきから早鐘のように落ち着かない。
「いとこだよ。母方の―――。そう言えば似てるって言われたことはないな。えーじお兄ちゃんはすごく明るくて親分肌な感じの人だし」
「は―、なるほど。爽子とは正反対ってわけ」
「うん」
「・・・・・けどさー、女の子ってそういう自分とは正反対のタイプに弱かったりすんじゃない?」
あやねがニヤリとするのに、翔太は嫌な予感を感じる。
「爽子、あのいとこが初恋の相手だったりしない?」
「―――え!?なんで知ってるの?あやねちゃん」
爽子が真っ赤になって驚き―――
そして翔太は真っ青になって固まったのだった・・・・・。
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