***Dress 2 vol.1 〜類つく〜***



   *このお話は「Dress」の続きになります。  


 つくしは、部屋の真ん中で1人、腕組みをし難しい顔で座り込んでいた。

 「―――どうしよう」

 そう呟くつくしの目の前には、純白のウェディングドレスが掛けられていた。

 そして溜め息をつく。


 今朝、航空便で届けられたこのドレス。
 贈り主は花沢類の母だった。
 もちろん早速着てみたのだけれど。

 フランスで特注で仕立てられたというこのドレス、つくしのサイズに合わせて作られたはずなのだが、なぜだか、ウエストがきつくて着れないのだ。
 類との挙式まであと1ヶ月。
 仕立て直すという手もあるが、挙式までは日がない。
 これはもう、ドレスに合わせて痩せるしかないか・・・・・と悩んでいたというわけだった。


 「ウエストを細くするダイエット法、ですか?」
 つくしの話に、桜子が目を瞬かせる。
「う〜ん、そりゃいろいろありますけど・・・・・。1ヶ月で、ってことになると、かなり短期間で細くするような効果的な方法を考えないと」
「ないの?そういう方法」
「エステに行くのが、一番確実なんですけどね」
「ゲッ、そんなお金ないよ!」
 顔をしかめるつくしに、桜子が溜め息をつく。
「天下の花沢物産に嫁入りする人のセリフとは思えませんわよ。―――あ、いい方法がありますよ」
「え、なに?」
「ただし、これは花沢さんには絶対内緒にしないと、多分ばれたら怒られます」
「―――な、何それ」

 思わず顔を引きつらせるつくしに。

 桜子がにやりと何か企んだような笑顔を浮かべたのだった・・・・・。


 「え?今日ダメになったって・・・・・」

 今日は類と2人で、映画を観る予定だった。
 そのために車で迎えに来た類だったが・・・・・

 「ご、ごめん!どうしてもバイト先の子が、今日来てほしいって―――」

 家庭教師のアルバイトをしているつくし。
 もちろん結婚するまでの期間なので、あと2週間ほどで終わる予定だったが。

 「・・・・・バイトじゃ、しょうがないけど。じゃ、いつだったらいい?」
 類の言葉に視線を彷徨わせるつくし。
「ええと・・・・・それが当分無理そうかなって・・・・・」

 どこか様子のおかしいつくしに、類が何も気づかないわけはないのだが・・・・・

 「―――分かった。じゃあ、都合付いたら連絡して。今日は帰るよ」
「う、うん、ごめんね、類」

 ほっと息をつくつくし。

 そのまま類は車に乗って行ってしまったが―――


 きょろきょろと、時折後ろを気にしながら1人道を急ぐつくし。

 ようやく目的地にたどり着き、ほっと息をつきつつインターホンのボタンを押す。
『はい』
「あの、牧野です」
『只今開けますので、どうぞ』
「はい」

 ほどなく、大きな門がゆっくりと開き、つくしはその中へと入って行った・・・・・。


 その様子を遠くから見ていた人物が、その道に姿を見せた。
 つくしの入って行った大きな屋敷を見上げ、眉間にしわを寄せる。

 「なんで、あきらの家に・・・・・?」

 類はじっと、あきらの家を見つめ考え込んだのだった・・・・・・。






  

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