My Little Angel 2


「ね、快斗、どう?変じゃない?」
と言って、らんは快斗の前でくるりと回って見せた。その瞬間、制服のスカートがひらりと揺れ、らん
のきれいな足が快斗の目に飛び込んできて、思わずドキッとする。
「あ・・・いや、変じゃねえよ。似合ってる」
「ホント?良かった」
安心したように、にっこり微笑むらん。その笑顔にボーっと見惚れていると、後ろからバシッと頭を叩
かれた。
「いて!」
「いやらしい目でらんを見てんじゃねえよっ」
「てめ・・・。なんだよ、おめえ、またそんな子供のかっこうして」
仏頂面をして立っていた新一は、人間の子供の格好で、メガネなどかけていた。
「仕様がねえだろ?この格好じゃなきゃ外出るなって哀がうるせえんだ」
「で、そのめがねは?おめえ、目が悪かったのか?」
「ああ?んなわけねえだろ?これはダテだよ。こうしてると賢そうに見えんだろ?」
にやっと、子供らしからぬ顔で笑う新一を、呆れ顔で見ていると・・・
「あなたの名前は、江戸川コナンよ」
と、後ろにいた哀が突然言った。
「はァ?何だよそれ?」
新一が思いっきり顔を顰める。
「あら、変装するなら名前だって変えたほうがいいじゃない。以前人間界に来たときに読んだ小説の作
家の名前を組み合わせてみたの。なかなか良い名前だと思うけど?ねえ、らん」
「え?うん、そうだね。良いんじゃない?」
らんが新一を見てにっこり笑う。途端に新一の顔が緩み、
「ま、まあらんがそう言うなら良いけどよ・・・」
などと言っている。
「わたしは宮野志保。人間になるときはその名前でと、昔から決めているの」
「?その名前になんか意味があるの?」
らんが不思議そうな顔をして聞く。
「別に。ただ単に気に入ってるのよ」
「・・・ふーん・・・」
「なあ、らんも何か偽名を使うのか?」
と快斗が聞くと、
「らんはそのままで良いわよ。ただ漢字を当てれば。蘭っていう花があるでしょう?その字が良いと思
うわ。姓は・・・毛利でどう?」
「毛利?何か意味あるの?」
「別に。単なる思い付きよ」
「・・・・・」
何はともあれ、3人の名前が無事に決まったのだった・・・。


 「毛利蘭です。よろしくお願いします」
 にっこりと微笑む美少女に、教室中がざわめく。続いて蘭の横に立っていた哀が
「宮野志保です。よろしく」
 といって軽く頭を下げた。
 ―――2人同じクラスに入ったのか・・・哀の仕業だろうなあ・・・。
 快斗が呆れて溜息をつくと、らんがちらりとこちらを見た。気付いてちょっと手をあげると、にっこ
りと満面の笑み。途端に快斗の顔も緩む。
 ―――まいっか。これからは学校でもらんと一緒にいられるんだし♪
 などと思っていると前に座っていた生徒がくるっと振り返った。
「なんだよ、快斗。おまえ彼女のこと知ってんのか?」
「え?あ、ああ、ちょっとな・・・」
「マジ?もしかしておまえの彼女とか?」
「え・・・」
「ただのお隣さんよ」
 と、いつの間にか側へ来ていた哀が、突然話に割って入った。
「お隣?」
「そう、らんとわたしが住んでいるのが、彼の住んでいるアパートの隣なの。ただそれだけよ」
「へ、へえ・・・」
 哀は、後ろにいたらんを促して指示された空いている席についた。

「なんか変わった感じの子だな」
「・・・そうだな・・・」
「けど、あの髪の長い子の方、すっげえ俺ごのみなんだけど。おまえの彼女とかじゃねえなら、狙っち
ゃおうかなあ」
 ニヤニヤしながら言うクラスメイトに、快斗は目を見開く。
「な、何言ってんだよっ」
 が・・・ふと気付けば、クラス中の男がらんと哀に注目していた。美少女2人の転校生。
 ―――これは、思ったより大変なことになりそうな気が・・・
 先のことを思うと、また溜息をつかずにはいられない快斗だった・・・。


「学校って楽しいねえ」
瞳をきらきらさせながら話すらん。人懐っこいその笑顔と親しみやすいキャラクターであっという間に
クラスにも溶け込んでしまったようだった。
「良かったわね、らん」
そんならんを見守る哀は、あくまでもクールで、どこか人を寄せ付けない雰囲気だが、らんを見つめる
眼差しはとても優しいものだった。
帰り道、3人は小学校に行っていた新一と合流し、4人で歩く。
「新一、どうだった?学校」
らんが聞くと、新一は不機嫌そうに顔をゆがめ、
「別に、どうってことねえよ。。それよりそっちは?変なやつに絡まれたりしなかったか?」
と言った。
「心配無用よ。わたしがついてるんですからね」
と答えたのは哀だ。
「ふん・・・。らん、楽しそうだな」
「えへへ、分かる?すっごく楽しかったよ。お友達もできたし♪」
にこにこと笑うらんを、穏やかな笑顔で見つめる新一。
―――へえ、悪魔でもこんな笑顔するんだな。
と快斗が思っていると、新一がじろりと快斗を睨み、
「おめえ、らんに変なことしてねえだろうな」
と言った。
「な、なんだよへんなことって。するわけねえだろ?」
「ふん、どうだかな」
らんを見るときとは別人のような鋭い眼差し。
快斗は溜息を付いた。


 快斗の住むアパートの10メートルほど手前まで来たときに、哀がぴたりと足を止めた。
「どうしたの?哀」
 気付いたらんが不思議そうに聞く。
「今日からわたしとらんはここに住むのよ」
 そう言って哀が見上げたのは快斗のアパートの隣にあるちょっとおしゃれな感じの白いマンションだ
った。
「え?」
「は?」
「なんだよ?それ!?」
 3人の反応に、哀が肩をすくめて答えた。
「あら、らんには言っておいたはずよ?人間として快斗の側にいたいと思うのなら一緒には住めないって」
「あ・・・そういえば・・・」
「おい、ちょっと待てよ、じゃあ俺はどうすんだよ?」
 と言ったのはもちろん新一。
「あなたは快斗のところにでもいれば?」
「な、なんでだよ!?俺もらんと一緒に・・・!」
「だめよ。悪魔と一緒に住んでるなんて大天使様に知れたらまたなんと言われるか・・・。快斗と一緒
に住むのが嫌なら魔界に帰るのね」
 きっぱりと言われ、ぐっと詰まる新一。
「・・・あのさあ、俺は何にも聞いてねえんだけど。いつの間にそんな話になってるわけ?」
 いささか不貞腐れ気味に言ったのは快斗。そんな快斗に、ちらりと冷たい視線を送りながら、
「あら、当然のことでしょう?クラスメイトの男女がひとつ屋根の下なんて、学校に知られたらまずい
ことになるわ」
 と、哀が言った。
「そりゃそうだけど・・・だからって、なんで俺がこいつと・・・」
 と言って、快斗は新一をじろりと睨んだ。
「それはこっちの台詞だ」
 睨み合う新一と快斗。
 そんな2人をどこか楽しげに見ながら、哀が言った。
「とにかく、そういうことだから。さ、行きましょう、らん」
「あ、うん」
 らんは、戸惑いながらも素直に哀に着いて行ってしまったのだった・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 とりあえず、ここまで日記で掲載していた分です。続きは、また日記で書こうと思っているのですが
・・・。ちょっと時間かかるかもしれませんが、気長にお待ちくださいねv
というわけで、感想などありましたらBBSのほうでお待ちしております。
それでは♪