「ほら、ぴったりだ」
翌日さっそく届いたウェディングドレスに袖を通す。
さすがオーダーメイド。
ウエストも、もちろん他のサイズもつくしにぴったりだった。
「―――良かった」
ほっと息をつくつくし。
類が、やさしい笑みを浮かべてつくしの傍に来た。
「―――すごくきれいだ」
「あ、ありがと」
腰を引き寄せられ、チュッとキスが降ってくる。
「―――このまま、一緒に住んじゃいたいな」
「あと1ヶ月だよ?」
「待ちきれない」
そうしてもう一度キス。
そのキスが深くなりかけたとき―――
「その先は、式の後までとっとけよ」
振り向けば、そこには総二郎とあきらが。
「よお、牧野。もうダイエットはいいのか?」
にやりと笑う総二郎に、つくしがきまり悪そうに顔をしかめる。
「美作さん、話したの?」
「わりい、だってもう類にばれちまったわけだから、隠す必要ねえと思って」
「にしても、俺にも相談してほしかったぜ。そうしたら手とり足とりつき合ってやったのに」
そう言ってつくしに触れようとする総二郎の手の前に、類が腕を出す。
「つくしには触れさせない」
鋭い視線でそう言えば、総二郎がパッと手を引っ込め、お手上げのポーズ。
「はいはい。まったく類は牧野のことになると人が変わるよな」
そう言ったものの、言われたままにはしないのが総二郎だ。
「そういやもうすぐ牧野は花沢性になるんだよな。そうしたら俺らはなんて呼べばいい?やっぱつくしか?」
にやりとする総二郎に、類の眉がピクリと上がる。
「―――だめ」
「そうは言ってもなあ。なあつくしちゃん。俺らになんて呼ばれたい?」
笑顔を向けられ、つくしの顔が引きつる。
「なんてって・・・・・あたしは別に、何でも・・・・・」
「じゃ、やっぱつくしだな」
「お、いいね。じゃ、俺もつくしって呼ぼう」
あきらもにやりと笑う。
2人の男がつくしに迫るのを、類が横目でじろりと睨み―――
「いいよ、別に。それでも、つくしは俺のだから。2人には、触れさせない」
そう言って負けじと不敵な笑みを浮かべ。
3人の間の何気にピリピリした空気に耐え切れず、つくしはそーっと逃げてみようかと試みたが。
「つくし、逃げるのは無理だから」
後ろから腰を引き寄せられ、あたふたと慌てる。
「結婚しても、ちゃんと遊びに来てやるから、楽しみにしてろ」
「そうそう、俺と総二郎の楽しみだから。F2が愛人なんて激レアだろ?」
「愛人て!」
思わず目をむくつくしに。
総二郎とあきらが楽しそうに笑い、つくしに顔を寄せ、あっという間にその両頬にチュッとキスを。
呆気にとられているつくしをよそについに堪忍袋の緒が切れた類が、2人からつくしをひきはがし、その唇を奪った。
息つぐ間もない熱烈な口付けに、今度は目を白黒させるつくし。
くらくらと、眩暈を感じて落ちそうになった時。
類の甘い声が、つくしの耳元に響く。
「浮気、できないように、きょうから連れて帰るから」
そして、ウェディングドレス姿のまま、横抱きに抱えあげられる。
「ええ!?ちょっと、冗談でしょ!?類!!」
「マジで。もう、俺の目の届かないところには行かせられない」
すたすたと、狭いアパートの玄関を通り抜け、そのままでて行ってしまう類の後を、総二郎とあきらも追いかける。
「牧野!心配すんな。結婚しても俺らが毎日遊びに行ってやるから!」
「そうそう!夜這いにも行ってやるから待ってろ!」
「冗談!何考えてんのよ!」
「いいよ。毎晩、夜這いする気もなくなるくらい見せつけてやるから」
なんだかんだと、つくしで遊び始めるF3に。
―――あたしの一生って、結局ずっとこうなんじゃ・・・・・?
と、青くなるつくしだった・・・・・。
fin.
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