***わがまま 〜風爽〜***



  風早くんのいると、ドキドキしてしまう。

目があっただけで鼓動が速くなって。

うまくしゃべれなくなる。

だけどそんな時も風早くんは笑顔で。

「黒沼」

わたしを呼ぶその声が優しくて。

ずっと、聞いていたくなる。

その笑顔を

ずっと見ていたくなる。

お願いずっとこのままで。

風早くんの笑顔を独り占めできたら。

―――わたし、わがままになったかな。

「黒沼がわがままだったら、俺なんかどうすんの」

風早くんが困ったように笑う。

「黒沼を、ずっと独り占めしたい。誰の目にも触れさせたくないなんて―――。俺がそんなこと考えてるって、知らないだろ」

「え―――」

「そんなこと無理なんだけど―――。でも、黒沼といるとそんなことばっかり考えてる。こういうの嫌?」

わたしは慌ててぶんぶんと首を振る。

「い、嫌なわけ、ない。わたしだって、おんなじで―――」

「うん、だから」

風早くんが、にっこりと笑う。

「もっと、わがまま言ってもいいよ。黒沼のわがままだったら、俺、どんなことでも聞けるから」

胸がキュンとなる。

その言葉に

笑顔に

―――大好き―――







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