長い黒髪が風に揺れる。
陶器のように白い肌が垣間見えるたびに胸が高鳴る。
そんな気持ちを、爽子は知らないだろうなと思いながら。
その隣に立つときのときめきとか、声を聞いた時のうれしい気持ちとか。
何より自分に向けられる笑顔が眩しくて。
いつでも隣にいるのは自分でありたいと思う。
すがすがしい気持ちとは真逆の、独占欲も。
自分以外の存在と話してほしくない。
近づいてほしくない。
触れてほしくない。
どんどん加速する恋心を、自分でも持て余しているけれど。
「風早くん?どうかした?」
心配そうに自分の顔を覗き込む爽子に、やさしく笑う。
「なんでもないよ。帰ろうか」
「うん」
微かに赤く染まる頬。
自分だけに向けられるものだって、自惚れたい。
醜いほどの独占欲、君は知らないだろうけど―――
ずっと、離したくないんだ、君のことを・・・・・。
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