***目を覚まさないで 〜風爽〜***



  2人でDVDを見ながら、いつの間にかウトウトしていたことに気づく。

黒沼は・・・・?

そう思って隣を見ようとして。

こてんと、翔太の肩に落ちてきたのは、爽子の頭。

黒髪がさらりと流れ、ふわりといい匂いが翔太の鼻をくすぐる。

どきんと、胸が大きく高鳴り。

そのまま動けなくなる。

すーすーと、穏やかな寝息。

微かに開いた唇は桜色に色づき。

まるで翔太を誘っているようで―――

そんなわけはないんだけれど。

でも、一度見てしまえば、そこから目が離せなくなる。

寝てる間になんて、気が付いたらどうするんだ。

じゃなくて、本人の了解も得ずにそんなこと―――

でも、自分たちは付き合ってるんだし。

そういうことがあったって、おかしくないわけで。

でもやっぱり―――

「うーん・・・・・」

少し掠れたような、心なしか艶っぽい声。

微かに身じろぎして、翔太の肩にすり寄る爽子。

これは、無意識の行動で。

だけど、翔太の理性を解くには十分なほどの力を持っていて―――

高鳴る胸を抑えながら。

そっと、唇を寄せる。

もう少し。

あと少しで、2人の唇が重なる―――

「―――風早くん?」

「!!」

反射的に素早く離れ。

とろんとした目で翔太を見つめる爽子に、わたわたする翔太。

「―――?どうかした?」

「い、いや、別に!!」

よこしまなことを考えていた自分を反省しながら。

あと3秒、目を覚まさないでいてくれれば、と、思わずにはいられなかった・・・・・。







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