お ま け



 「あ、そうだ、蘭」
 新一は、蘭の家の前まで来ると、急に何か思い出したように足を止めた。
「何?」
「あのさ、これ・・・」
 と言いながら新一はポケットの中を探り、小さな箱を取り出した。
「?何?これ」
 蘭は不思議そうな顔をしてそれを受け取った。
「開けてみろよ」
「う、うん」
 蘭は、そっとその箱を開けた―――。中には可愛いピンクのビロード地のハート型の箱が入っていた。
蘭の瞳が、驚きに輝く。そのハートの箱の中から出て来たのは、同じくハートの形をしたピンクトルマ
リンの指輪で・・・。シルバーのリングにちょこんと乗ったそれは愛らしく、キラキラと輝いていた。
「新一、これ・・・」
「今日さ、オメエらが映画見てる間に買って来たんだ。―――今はこんな安もんだけど、そのうち
―――俺がもっと自分に自信持てるようになったら、ちゃんとしたやつ買うから・・・。それまで待っ
ててくれよな」
 と新一が言うと、蘭はその大きな瞳に涙をため、新一を見上げふわりと微笑んだ。
「うん・・・ありがとう新一・・・。すっごく嬉しい。大事にするよ、これ」
 新一はなんだか恥ずかしくなって一つ咳払いすると、蘭の手からその指輪を取り蘭の右手の薬指にそ
れをはめた。
「今はまだ、こっちな。―――こっちも予約しとくから・・・他のやつの予約は受けるなよ?」
 と、蘭の左手を取りながら言うと、蘭も照れたように笑い、頷いた。
 二人の視線が絡み合い、自然にその顔が近づいていく。もう少しでその唇が重なろうという時―――、
「くぉら―――!テメエら何してやがる!!」
 と、突然頭の上から声がして―――驚いて見上げると、2階の窓から、鬼のような形相をした小五郎
の姿が―――
「お、お父さん!どうして・・・」
「今園子から電話があってなあ、送り狼が蘭を送っていくから気をつけろって言われたんだよ!新一!
貴様人の娘に何しようとしやがった!」
「い、いや、その―――」
 ―――園子のやつ〜〜〜!
「お父さん!新一は送ってきてくれただけよ!」
「だったらもう用は済んだだろ?とっとと帰れ!いいな!」
 というと、小五郎は頭を引っ込めた。
 2人は同時に溜息をつくと、顔を見合わせた。
「ごめんね、新一」
「蘭が謝ることはねえよ。―――んじゃ、俺帰るよ・・・。また明日な」
「うん。おやすみなさい」
「おやすみ」
 新一は蘭の頭をそっと撫でると、ちょっと手を振り、歩き出した。そして―――

 ―――園子のやつ、見てろよ。オメエにはゼッテ―負けね―からなっっ

 と、握りこぶしを固めつつ、誓ったのだった・・・。





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 すいません。この部分、入れるの忘れてて、おまけにしてしまいました。
一番重要なのに・・・。えへ♪
 というわけで、これで本当に終わりで〜す♪