背の高いあいつの隣に、ブロンドの美女。
絵になる2人。
思わずそこに行くのに躊躇してしまうほど。
だけど・・・・・
「牧野!何やってんだよ、早く来いよ!」
あたしに気付いた道明寺の声に、あたしはあいつの元に駆け寄る。
何こいつ、というようにあたしを睨みつける美女。
「こいつは俺の婚約者だ。仕事のことはもういいだろ?今日はもう帰ってくれ」
道明寺の冷たい言葉に、女は一瞬悔しそうに顔を歪め、くるりと背を向けて行ってしまった。
「―――よかったの?怒ってたみたいだけど」
「いいんだよ。どうせどうでもいい仕事の話をしに来ただけだ」
「どうでもいいって―――」
「今は、こっちの方が大事」
そう言って、道明寺があたしの肩を引き寄せる。
きれいに整った顔が間近に迫って、胸が高鳴る。
「せっかく時間が取れたんだ。2人きりの時間を満喫したい」
「・・・・・うん、あたしも」
たまには素直になってみようかな。
そんな風に思ってその広い胸に擦りよれば、微かにあいつが照れてる気配。
「・・・・・キスしていいか?」
―――ムードないんだから。
でも、今日は特別。
黙ってそっと目を閉じれば。
優しくて甘い、キスが降りてきた・・・・・。
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