***恋心 74 〜あきつく〜***



  彼が優しい人だってことはわかってるし

妹想いだってことも知ってるけど。

朝からこんな光景を見せられると、ちょっと拗ねてみたくもなる。

だって・・・・・

「ん・・・・・?なんだ、牧野来てたのか」

目をこすりつつ、ベッドに起きあがる美作さん。

「起こせばいいのに」

「―――悪いかと思って」

あたしの言葉に美作さんは不思議そうな顔をして

ふと、ベッドに目を落とす。

そこには、美作さんを挟むようにして眠る小さな天使たち―――

彼の双子の妹がいた。

「―――何だ、こいつらまた来てたのか。遠慮すんなよ、いつものことだし。お前だったらこいつらも文句言わねえよ」

はたしてそれはどうか―――

女心ってものを、わかってるようでわかってないんだから。

そう思ってちょっとムッとしていると、そんなあたしを楽しそうに見つめる美作さん。

「もしかして、拗ねてんの?」

「べ、別に―――」

「なら、お前も一緒に寝る?このベッドで―――」

そう言って、手を引き寄せられるのに、どきんと胸が鳴る。

「ちょ―――」

「なんなら―――一晩中抱きしめて寝てやろうか?」

耳元に囁かれた声に、体が熱くなる。

「や―――」

「けど、そうしたら俺が堪えらんないかも」

「え―――?」

「抱きしめるだけじゃ―――すまなくなるかもな」

甘く囁いて。

そのまま唇を塞がれる。

妹たちを起こさないように、そっと―――

こんな時まで気を使うんだから。

そういうとこが、好きだけど・・・・・







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