***恋心 73 〜類つく〜***



  N.Y.の空の下、途方に暮れていたあたしの目の前に現れたのは花沢類だった。

「帰ろう、日本に」

やわらかな笑顔と優しい声。

この人はいつもあたしを守ってくれる。

「花沢類―――ありがとう」

ありがとうもごめんも聞き飽きたって。

でも、どうやってこの気持ちを伝えたらいいのかわからない。

『ありがとう』でも『ごめん』でもない。

どうやって伝えればいい?

「花沢類、聞いて」

「何?ありがとうならもう聞いたよ」

「そうじゃなくて」

そうじゃない。

そんな言葉じゃない。

だって、それじゃあたしの気持ちが伝わらないの。

「―――好きなの」

驚きに目を瞬かせて。

「―――本気?」

その言葉に頷いて。

気付かないうちに涙が頬を伝ってた。

「もう―――後戻りできないよ?」

「うん―――わかってる」

だって、あたしが決めたことだから。

一緒にいたいって。

ずっとそばにいたいって。

そう思ったの。

―――大好き―――







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