***恋心 65 〜類つく〜***



  「類、顔色悪くない?」

いつもの非常階段。

先に来てた類は、ちょっとだるそうに目を閉じていた。

「いや―――別に、なんともない」

「そう?でもなんか元気ないし。風邪ひいてるんじゃないの?大丈夫?」

「心配してくれんの」

「当たり前でしょ?どうしたの?」

なんだか元気がない。

普段からそんなにアクティブな方じゃないって知ってるけど。

心配。

「―――じゃ、こっち来て」

手招きされて、あたしは言われたとおり類の傍に行く。

「わっ?」

突然手を引っ張られ、類の腕の中に倒れ込む。

「ちょっと、何―――」

「少しの間でいいから、こうしてて」

甘い声が、耳元に響いて。

ドキドキしてしまう。

「る、類―――?」

「牧野が―――こうしてくれてたら、元気出るよ」

「ほ、ほんと?それなら―――」

類のためなら。

でも、あたしの心臓の音が類に聞こえてしまいそうで。

これじゃ、あたしのが身が持たない気がする。

「―――キスしていい?」

「へ―――!?」

突然、何を言い出すかと思えば。

「キスしてくれないと、なおんない」

「なおんないって、何かの病気―――」

上を見上げた瞬間、唇を塞がれる。

触れるだけじゃない。

深いキスがあたしの胸を熱くする。

「―――なおった・・・・・?」

何の病気だか知らないけど。

「―――まだ、足りない―――」

「何が―――?」

「牧野が―――」

そうして、また唇が重ねられる。

何度も甘いキスをして。

頭がぼ―っとしてきて。

これじゃ、あたしの方が病気になっちゃいそう。

「もっと―――牧野が欲しい」

ビー玉のようなその瞳であたしを見つめて。

「牧野じゃないと―――だめなんだ」

とろけそうに甘い声で囁いて。

「好きだよ―――」

しっかりと抱きしめて。

あたしを、離さないで―――







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