「類、顔色悪くない?」
いつもの非常階段。
先に来てた類は、ちょっとだるそうに目を閉じていた。
「いや―――別に、なんともない」
「そう?でもなんか元気ないし。風邪ひいてるんじゃないの?大丈夫?」
「心配してくれんの」
「当たり前でしょ?どうしたの?」
なんだか元気がない。
普段からそんなにアクティブな方じゃないって知ってるけど。
心配。
「―――じゃ、こっち来て」
手招きされて、あたしは言われたとおり類の傍に行く。
「わっ?」
突然手を引っ張られ、類の腕の中に倒れ込む。
「ちょっと、何―――」
「少しの間でいいから、こうしてて」
甘い声が、耳元に響いて。
ドキドキしてしまう。
「る、類―――?」
「牧野が―――こうしてくれてたら、元気出るよ」
「ほ、ほんと?それなら―――」
類のためなら。
でも、あたしの心臓の音が類に聞こえてしまいそうで。
これじゃ、あたしのが身が持たない気がする。
「―――キスしていい?」
「へ―――!?」
突然、何を言い出すかと思えば。
「キスしてくれないと、なおんない」
「なおんないって、何かの病気―――」
上を見上げた瞬間、唇を塞がれる。
触れるだけじゃない。
深いキスがあたしの胸を熱くする。
「―――なおった・・・・・?」
何の病気だか知らないけど。
「―――まだ、足りない―――」
「何が―――?」
「牧野が―――」
そうして、また唇が重ねられる。
何度も甘いキスをして。
頭がぼ―っとしてきて。
これじゃ、あたしの方が病気になっちゃいそう。
「もっと―――牧野が欲しい」
ビー玉のようなその瞳であたしを見つめて。
「牧野じゃないと―――だめなんだ」
とろけそうに甘い声で囁いて。
「好きだよ―――」
しっかりと抱きしめて。
あたしを、離さないで―――
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