***恋心 62 〜総つく〜***



  「明日、ひま?」

さりげなく牧野に聞いてみる。

牧野は目を瞬かせながら、俺を見上げる。

「ううん、明日はバイトがあるから。何?用事?」

「いや―――暇なら、どっか行こうかと思ったんだけど」

「西門さんと?」

「ああ」

「あたしが?」

「なんかおかしいか?」

「ていうか―――珍しいなと思って」

「そうでもねえだろ。司もあきらも海外で、類も最近忙しいらしいし。暇なの俺とお前だけだろ」

「西門さんだって忙しいでしょ?」

「俺は平気だよ。お前に合わせるから、今度どっか遊び行こうぜ」

何とかデートに持って行こうと努力してるってのに、こいつは。

「いいけど―――それなら優紀とか桜子も誘う?大勢の方が楽しくない?」

わかってねえんだよな、やっぱり・・・・・

「―――俺は、2人がいい」

やっぱり、こいつには直球かな。

「え?」

「俺は―――お前と2人で、出かけたいって言ってんの」

そう言って牧野を見つめれば、ようやくその意味を理解したように頬が染まっていく。

「ちょっとは、男心を察してくれよな、つくしちゃん」

まずは手始めに。

2人で、デートしよう―――







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