会いたくても会えない。
それがこんなに辛いものだって、初めて知った。
そんなに辛いならやめちゃえばいいのにと、心の中で声がするけど。
でも、やめることなんてできない。
だって好きだから。
会えなくてもこんなに―――
最近のあたしはちょっと情緒不安定だ。
1人きりになると、自然と涙が出てきてしまう。
あいつの―――道明寺のことを思い出して―――
今日も家までの帰り道、夕焼けを見ていたら、涙が溢れて来てしまった。
誰も見ていないから。
そのまま涙も流れるままにしておく。
その涙の向こうに。
背の高い、あいつの影―――
―――幻―――?
「お前、何泣いてんだよ」
―――幻聴―――?
「泣くなよ」
頬に触れた手は、確かに暖かくて。
「―――お前に泣かれると、困る」
いつも自信満々のあいつが、少し困ったように首を傾げて。
消えてしまわないように―――
あたしは、道明寺の腰にギュッと抱きついた。
「―――会いたかった」
「―――俺もだよ」
少しほっとしたような―――
照れくさそうな声が降ってきて。
あたしの瞳には、また涙が溢れた―――。
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