***恋心 59 〜あきつく〜***



  「美作さん、ファッションショーに出るって!?」

飛び込んできたつくしに、あきらは顔を顰める。

「―――総二郎に聞いたのか。あの野郎、言うなっつったのに・・・・・」

「なんで?すごいじゃん、モデルなんて!あたしも見に行っていいんでしょ?」

「ダメ」

即答するあきらに、今度はつくしが顔を顰める。

「なんで?西門さんはみんなで行こうって」

「お前はだめ」

「だからなんで?見られたらまずいことでもあるわけ?」

「そうじゃねえよ」

「モデルさんとラブシーンでもあるとか?ファッションショーでもそういう演出ってあるの?」

「演出としてはあるかもしれねえけど、そうじゃねえよ」

「じゃ、なんで!?あたしだけだめなんて、納得いかない!!」

と、横で聞いていた類が、耐えきれなくなったようにぷっと吹き出す。

「類、笑うな」

「類は知ってるの?ねえ、教えてよ、なんであたしは見に行っちゃだめなの」

「―――あきらは、男性モデルとして出るんじゃないんだよ」

にやりと類が笑う。

「え―――どういうこと?」

「類!!」

「女性モデルとして出るんだ」

「―――は?」

目が点になるつくし。

「女性モデルとして、理想的な体型だって、デザイナーにスカウトされたんだってさ」

くすくすと笑う類。

頭を抱えるあきら。

つくしはしばらく固まっていたが―――

「あたし、絶対見に行く!!」

と、瞳を輝かせたのは言うまでもない・・・・・。







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