***恋心 58 〜類つく〜***



  頬杖ついて、眉間にしわ寄せて。

かと思うと目を輝かせ、何かに見入ってみたり。

1人で怒っていたかと思うと急に笑い出す。

牧野を見てると本当に飽きない。

テレビを見てる時も、本を読んでる時も、その表情はくるくる変わる。

別に、会話がなくたっていい。

ただ、牧野を見ていられたらそれでいいんだ。

「なあに?花沢類。さっきからじっと見て」

照れたように、微かに頬を染めて。

そんな顔も可愛いと思える。

「ん、別に。退屈しないなあと思って」

「また、そうやって馬鹿にする」

ぷっと頬を膨らます。

まるで小動物みたいだ。

「馬鹿になんてしてない。可愛いと思ってるんだよ」

そう言ってみれば、途端に頬を真っ赤に染め上げる。

本当に、退屈しない。

ついに噴き出した俺を、恨めしそうに見る牧野。

その表情に、俺の方が降参。

「やっぱり、好きだよ」

その赤く染まった頬にキスをして。

困ったように、でも決していやじゃないって顔の牧野を見て。

俺はまた、幸せになるんだ。







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