***恋心 52 〜あきつく〜***



  両手に花ってこのことよね、とやってきた美作さんたちを見て思う。

双子の妹たちにせがまれて、仕方なく買い物に付き合うことにしたと言っていたけど、これほど絵になる兄妹もいない。

誰もが振り返って見るほど、麗しい3人組・・・・・。

「何してんだよ、牧野」

「あ、ごめん」

呼ばれて、はっとしてあたしは3人に駆け寄った。

「つくしおねえちゃま、一緒にお洋服選んでくれる?」

可愛く微笑まれたら、断ることなんてできないけれど―――

「つくしおねえちゃまも、お揃いにしましょ」

そんな絵夢ちゃん(最近ようやく見分けがつくように)の言葉に、ぎょっとする。

「お、おそろいって―――」

あたしに、そのふりふりの服を着ろと?

「芽夢も、それがいいな。ね、つくしおねえちゃま、いいでしょう?」

「いや、あの、それは―――」

あたしが青くなっていくのを、双子に挟まれた美作さんが見て必死に笑いをこらえてる。

「い、いいじゃん、お前も着れば・・・・・」

「美作さん!あたしにそういうの似合わないの知ってて―――!」

「そうでもないんじゃねえ?」

「は?」

「意外と、合うかも。俺が見立ててやるよ」

ニヤリとする美作さんに、あたしは思わず後ずさる。

「ちょっと―――」

「逃げんなって。俺が、とびっきり可愛い女にしてやるよ」

そう言って腕を掴まれ―――

パチンと見事に決まったウィンクに、不覚にもドキッとしてしまった・・・・・。







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