***恋心 51 〜類つく〜***



  ビー玉のような透き通った瞳が好き。

薄茶のサラ髪も好き。

あたしに向けられる笑顔が大好き。

だけど。

その笑顔はもう見られなくなるの・・・・・?

「どうして泣くの?」

類の優しい手が、あたしの髪を撫でる。

「・・・・・やだよ」

「―――何が?」

「離れたくない・・・・・類と、離れたくない・・・・・」

まるで子供みたいに、涙をぽろぽろと流すあたしを、じっと見つめる瞳。

「・・・・・俺は、いつでもそばにいるよ」

「だけど・・・・・あたしは行かなくちゃ・・・・・」

「・・・・・行かせない」

ぎゅっと、抱きしめられる。

その力は、驚くほど強くて。

「類・・・・・?」

「その涙が・・・・・俺が思ってる理由で流してるなら、俺は牧野を離さない。司の所へは、行かせない・・・・・」

類が思ってる理由・・・・・?

あたしの涙のわけ・・・・・?

あたしは―――どうして泣いてるの・・・・・?

「俺は、牧野が好きだよ、ずっと。だから、牧野には幸せになってほしい。牧野が司の所へ行きたいと思うなら、喜んで見送るよ。だけど・・・・・」

類の冷たくて、やさしい手があたしの頬に触れる。

「でも・・・・・俺と一緒にいたいと思ってくれるなら・・・・・俺は牧野のそばにいる。ずっとね・・・・・」

「あたし・・・・・」

「牧野の気持ちが、知りたいんだ・・・・・」

「あたしは・・・・・類が、好き・・・・・」

いつもそばにいてくれた人。

ずっと、あたしを守ってくれた人。

ずっと、一緒にいたいと思った人。

それはやっぱり―――

「そばにいて、ずっと・・・・・」

笑顔を見せて。

あたしだけに―――。







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