***恋心 50 〜総つく〜***



  「またか」

呆れて天を仰ぐ美作さん。

「だって」

むっと顔を顰めるあたし。

「だから、俺は無実だっての」

疲れきった顔の西門さん。

「そろそろ別れ時?」

楽しそうに見守る類。

「別れねえって!だから、あれは俺の門下生で、お前が怪しむ関係じゃねえんだって!」

「ホテルから出てきたじゃない」

「だから!彼女が1人で着付けできないから手伝ってくれって」

「わざわざホテルで?」

「彼女があそこに泊ってたんだよ。そこに呼び出されたんだから仕方ねえだろうが」

「で、そこで誘惑されそうになったと」

美作さんの言葉に、うっと詰まる西門さん。

「だ、だけど何もなかったんだからいいだろうが!」

「本当に何もなかったかどうかなんて、わかったもんじゃないし」

「ないって!あるわけねえだろうが!」

「ま、心配するな。お前と別れても牧野の面倒は俺がちゃんと見てやるよ。俺んとこなら妹たちも母親も牧野を気に入ってるし」

美作さんがにやりと笑う。

この人はただ単に面白がってるだけなんだけど。

「俺もいつでも大丈夫だよ。何なら今から一緒に住んでもいいし」

類もにこにこと笑う。

こっちは―――半分くらい、本気かも・・・・・?

「馬鹿言ってんじゃねえよ!俺は絶対別れないからな!」

額に青筋立てて怒る西門さんを見つめて―――

―――ま、これくらいで許してあげようかな・・・・・?

なんて。

彼の本気の顔を見て、満足するあたしだった・・・・・。







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