「またか」
呆れて天を仰ぐ美作さん。
「だって」
むっと顔を顰めるあたし。
「だから、俺は無実だっての」
疲れきった顔の西門さん。
「そろそろ別れ時?」
楽しそうに見守る類。
「別れねえって!だから、あれは俺の門下生で、お前が怪しむ関係じゃねえんだって!」
「ホテルから出てきたじゃない」
「だから!彼女が1人で着付けできないから手伝ってくれって」
「わざわざホテルで?」
「彼女があそこに泊ってたんだよ。そこに呼び出されたんだから仕方ねえだろうが」
「で、そこで誘惑されそうになったと」
美作さんの言葉に、うっと詰まる西門さん。
「だ、だけど何もなかったんだからいいだろうが!」
「本当に何もなかったかどうかなんて、わかったもんじゃないし」
「ないって!あるわけねえだろうが!」
「ま、心配するな。お前と別れても牧野の面倒は俺がちゃんと見てやるよ。俺んとこなら妹たちも母親も牧野を気に入ってるし」
美作さんがにやりと笑う。
この人はただ単に面白がってるだけなんだけど。
「俺もいつでも大丈夫だよ。何なら今から一緒に住んでもいいし」
類もにこにこと笑う。
こっちは―――半分くらい、本気かも・・・・・?
「馬鹿言ってんじゃねえよ!俺は絶対別れないからな!」
額に青筋立てて怒る西門さんを見つめて―――
―――ま、これくらいで許してあげようかな・・・・・?
なんて。
彼の本気の顔を見て、満足するあたしだった・・・・・。
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