「馬子にも衣装だな」
ウェディングドレスに身を包んだあたしを見て、美作さんが笑う。
白いタキシード姿の彼はいつもにも増して大人っぽくて麗しくて。
関係者でもない通りすがりのような人たちまでもが教会に押し寄せ、美作さんに見惚れていた。
そしてあたしに向けられる視線はいつもの通り―――
『なんであんなこが―――』
そりゃあ、美作さんに比べたらあたしなんて子供っぽくて。
釣り合わないことくらい自覚してるけど。
いじけるあたしに、悔しいくらいのきれいな笑顔を向けて。
「大丈夫。お前はきれいだよ。なんたって、俺が選んだ女なんだから」
「―――ホント?」
「ん―――。もっと自信もて。俺が、他の男に取られるのが嫌で結婚式早めたくらいなんだ。そのくらい、お前は魅力的だよ」
そんなことをサラっと言ってのけるこの人には、やっぱり敵わない。
ずっと、この人の隣にいたい―――。
その想いが、ようやく届いた。
「―――大好き」
「俺も―――」
2人のキスに、どんなに黄色い悲鳴が響いたって―――
2人の世界には、絶対に入ってこれないんだから―――
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