その2人の姿が目に入った瞬間、あたしは頭の中が真っ白になってしまった。
静さんと類。
とてもお似合いの2人。
わかっていたことだけど・・・・・。
「牧野さん、久しぶりね」
「あ・・・・・お久しぶりです」
「あなたともゆっくり話したいのだけれど―――ごめんなさいね、もう行かなくちゃ」
そう言って静さんは残念そうに微笑み、手を振って行ってしまった。
あたしと類を残して―――
「牧野?どうかした?」
「う、ううん、なんでもない」
「・・・・・静、結婚するんだって」
その言葉に、弾かれたように顔をあげる。
「結婚!?」
「うん。相手も弁護士だって。結婚式には呼ぶって」
「―――って、いいの?類」
「何が?」
「だって―――」
「牧野―――やっぱり勘違いしてた?」
「勘違いって―――」
「俺はもう静のことなんとも思ってないよ」
ふっと微笑むその笑顔が、眩しかった。
「俺は、牧野が好き。知ってるだろ?」
「だって、でも―――」
「でも、ヤキモチ妬いてくれたってことかな、それは」
類の言葉に、カーッと顔が熱くなる。
「あ、あたし、別に―――」
「ん?そう?じゃ、俺が両親に勧められてる見合い、行ってもいい?」
「だ、だめ!」
思わず類の腕を掴んでしまい―――。
「痛いよ」
その言葉に、パッと手を離す。
「あ、ご、ごめん!」
だけど今度はその手を類に掴まれて。
あっという間に抱きしめられる。
「しないよ、見合いなんで。俺は、牧野以外の女は好きにならない」
切ないくらいに甘い声が耳元に響いて。
心にあったわだかまりみたいなものが、スーッと消えていく。
「―――あたしも、好き、だよ」
「―――もう1回、言って」
「―――好き、なの、類が」
ようやく素直になれたあたしに。
天使みたいな笑顔で、類は答えてくれた・・・・・。
「―――愛してる―――」
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