***恋心 47 〜類つく〜***



  その2人の姿が目に入った瞬間、あたしは頭の中が真っ白になってしまった。

静さんと類。

とてもお似合いの2人。

わかっていたことだけど・・・・・。

「牧野さん、久しぶりね」

「あ・・・・・お久しぶりです」

「あなたともゆっくり話したいのだけれど―――ごめんなさいね、もう行かなくちゃ」

そう言って静さんは残念そうに微笑み、手を振って行ってしまった。

あたしと類を残して―――

「牧野?どうかした?」

「う、ううん、なんでもない」

「・・・・・静、結婚するんだって」

その言葉に、弾かれたように顔をあげる。

「結婚!?」

「うん。相手も弁護士だって。結婚式には呼ぶって」

「―――って、いいの?類」

「何が?」

「だって―――」

「牧野―――やっぱり勘違いしてた?」

「勘違いって―――」

「俺はもう静のことなんとも思ってないよ」

ふっと微笑むその笑顔が、眩しかった。

「俺は、牧野が好き。知ってるだろ?」

「だって、でも―――」

「でも、ヤキモチ妬いてくれたってことかな、それは」

類の言葉に、カーッと顔が熱くなる。

「あ、あたし、別に―――」

「ん?そう?じゃ、俺が両親に勧められてる見合い、行ってもいい?」

「だ、だめ!」

思わず類の腕を掴んでしまい―――。

「痛いよ」

その言葉に、パッと手を離す。

「あ、ご、ごめん!」

だけど今度はその手を類に掴まれて。

あっという間に抱きしめられる。

「しないよ、見合いなんで。俺は、牧野以外の女は好きにならない」

切ないくらいに甘い声が耳元に響いて。

心にあったわだかまりみたいなものが、スーッと消えていく。

「―――あたしも、好き、だよ」

「―――もう1回、言って」

「―――好き、なの、類が」

ようやく素直になれたあたしに。

天使みたいな笑顔で、類は答えてくれた・・・・・。

「―――愛してる―――」







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