***恋心 45 〜あきつく〜***



  「高校生の頃、10年後の自分なんて想像できなかったな」

あたしの言葉に、美作さんが顔を上げる。

「ん?そうか?」

「うん。だって―――まさか、美作さんと一緒にいるなんて」

その言葉に、軽く笑う美作さん。

「俺は、想像してたよ。お前とこうなること」

「ええ?本当に?」

「ん―――。あの月夜の夜に」

「月夜?」

「お前は覚えてないだろうけどな」

そう言って微笑むと、あたしの手を取り、手の甲に唇を寄せる。

その仕草がまるで王子様のようで、思わず見惚れる。

「――想像っていうより―――夢見てた、っていう方が正解だな」

「夢って―――」

「お前は、俺の夢。だから今の俺は、夢を手に入れられたってわけ」

「夢だなんて、大袈裟だよ。あたしが、美作さんと一緒にいたいと思ったんだから」

「それが夢だったんだよ。でも―――これからは、現実のものにしなきゃな」

「もう現実、でしょ?」

「―――ああ、そうだな」

優しいキスをして。

ふわりとあたしを抱きしめてくれる腕は、やっぱり優しかった・・・・・。







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