「どうした?」
ウェディングドレスに身を包み、俺を見上げるつくし。
「なんか―――震えちゃって」
そんな殊勝な言葉に思わず噴き出すと。
「な、何よ、しょうがないじゃない!道明寺は緊張しないわけ?」
「バーカ、俺だって緊張してるっつーの。つーか、お前いつまでその呼び方するつもりだよ。そろそろ名前で呼んでみ」
「む、無理。これ以上緊張させないでよ。あんたのどこが緊張してるのよ」
「―――しょうがねえな」
白い顔して震えてるつくしを。
俺は腕の中に閉じ込めた。
「―――ほら、聞こえるか?俺の心臓の音」
「あ―――」
「おれだって死ぬほど緊張してる。ようやくお前を俺のものにできるんだからな」
俺の腕の中で、そっと顔をあげるつくし。
俺はその額に、キスを落とした。
「安心しろ。何があっても、俺がお前を守ってやる」
「―――何よ。それはあたしのセリフでしょ」
「ああ―――。俺に何かあったらお前が守ってくれるんだろ?」
「そうよ」
「期待してる。それでずっと、一緒にいよう」
「うん」
「ずっと―――幸せになろう」
「うん」
「行くぞ」
「うん!」
そうして2人で手をつないで。
俺たちは歩きだした―――。
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