***恋心 4 〜総つく〜***



見上げた空に、大きな花火。

真っ暗だった空に大輪の花を咲かせている。

「すげえな」

西門さんの呟きが、かろうじて聞こえた。

次々に打ち上げられる花火が、お腹に響くような音が、

なぜかあたしの涙腺を刺激する。

気づいたら、涙が頬を伝ってた。

「おい、どうした?」

気づいた西門さんが、慌ててあたしの顔を覗き込む。

「あ・・・・・なんでもない」

「なんでもなくねえだろ?俺、何かしたか?」

「なにも」

嘘じゃない。

西門さんは、何もしてないよ。

ただあたしが・・・・・

「・・・・・ごめん、もう会わない」

「―――どういう意味だよ?」

西門さんの声音が、低くなる。

「もう会わない。会いたくないの」

「何でだよ?俺が納得できるように言ってみろよ」

「もう無理なんだってば」

「だから何で!」

「もう、友達でいられないもん!」

搾り出すように吐き出された言葉に、西門さんが目を丸くする。

「―――友達でいたかった。友達だったらずっと傍にいられる。でも、もう・・・・・」

涙が溢れてきて、言葉にならなくなる。

あたしは西門さんに背を向け、走り出した。

だけどすぐに追いつかれて。

「待てよ!」

抱きすくめられて、あたしは動けなくなる。

「―――俺は、もうずっと前からお前を友達としてなんか見てねえよ」

すぐ耳元で囁かれる言葉。

「―――好きだ―――」


                               fin.





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