目が覚めると、そこには花沢類の天使の寝顔。
ああそうだ。
昨日、道明寺から一方的に別れを告げられて。
その直後に、どこかの令嬢との婚約を知って。
やけ酒飲んで、酔っ払って―――
くだまいて、その辺の酔っぱらいとけんかになった時に、彼に助けられて。
そのまま花沢類の家に連れてこられたんだっけ。
黙ってあたしの話を聞いてくれた類。
泣きじゃくるあたしの背中を、やさしく撫でてくれていた。
ぼろぼろになったあたしをやさしく包んでくれて。
気がつけば、彼に抱かれていた。
後悔はしていないけれど。
これ以上、類に迷惑はかけられない・・・・・
そっとベッドから出ようとして。
「どこ行くの」
いつの間にかその手を掴まれていた。
「―――帰るよ。ごめんね、迷惑かけて」
「帰る?どこに?迷惑?誰に?」
「え―――」
「帰さないよ、どこにも。迷惑だなんて、思ってない。昨日俺が言ったこと―――覚えてる?」
「それは―――」
「俺は、本気だから」
それは、彼のぬくもりに包まれて、眠りに落ちる間際に聞いた言葉。
『ずっと、愛してる―――。牧野は、もう俺のものだよ』
甘い囁きが、まだ耳に残ってる。
「本気―――?」
「うん。そう言ったでしょ?俺は―――好きなものにはとことん執着するタイプなんだよ」
そう言ってまたベッドの中に引き戻されて。
あたしは再び、彼に捕えられた。
この体も、そして心も―――。
「あたしは、類のものだよ―――」
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