***恋心 38 〜類つく〜***



  目が覚めると、そこには花沢類の天使の寝顔。

ああそうだ。

昨日、道明寺から一方的に別れを告げられて。

その直後に、どこかの令嬢との婚約を知って。

やけ酒飲んで、酔っ払って―――

くだまいて、その辺の酔っぱらいとけんかになった時に、彼に助けられて。

そのまま花沢類の家に連れてこられたんだっけ。

黙ってあたしの話を聞いてくれた類。

泣きじゃくるあたしの背中を、やさしく撫でてくれていた。

ぼろぼろになったあたしをやさしく包んでくれて。

気がつけば、彼に抱かれていた。

後悔はしていないけれど。

これ以上、類に迷惑はかけられない・・・・・

そっとベッドから出ようとして。

「どこ行くの」

いつの間にかその手を掴まれていた。

「―――帰るよ。ごめんね、迷惑かけて」

「帰る?どこに?迷惑?誰に?」

「え―――」

「帰さないよ、どこにも。迷惑だなんて、思ってない。昨日俺が言ったこと―――覚えてる?」

「それは―――」

「俺は、本気だから」

それは、彼のぬくもりに包まれて、眠りに落ちる間際に聞いた言葉。

『ずっと、愛してる―――。牧野は、もう俺のものだよ』

甘い囁きが、まだ耳に残ってる。

「本気―――?」

「うん。そう言ったでしょ?俺は―――好きなものにはとことん執着するタイプなんだよ」

そう言ってまたベッドの中に引き戻されて。

あたしは再び、彼に捕えられた。

この体も、そして心も―――。

「あたしは、類のものだよ―――」







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