パーティーは苦手。
ダンスも好きじゃない。
お酒は飲めるようになったけれど、男の人に勧められるのはやっぱり苦手だ。
「そろそろ帰ろうかな―――」
バルコニーに出て休んでいると。
「―――見つけた」
聞き覚えのある甘い声に、振り向こうとしてその動きを止められる。
後ろから腰に手をまわされて。
首筋に、弾んだ息がかかる。
「逃げんなよ」
黒いつややかな髪が、頬にかかる。
「―――西門さん。なんでここに―――」
「言っただろ?お前を、探してた。お前こそ、なんで逃げる?」
「それは―――」
「まだ―――忘れられないのか?あいつのこと―――」
「違うよ・・・・・そうじゃなくて・・・・・」
胸が、苦しい。
これ以上、近くにいたら―――
「―――ねがい、離して・・・・・」
体が震えてしまう。
「いやだね」
「西門さん―――!」
「もう、逃がさねえよ。お前を俺のものにするまで―――」
「やめて―――」
それ以上言わないで。
この人を好きになっちゃダメ。
きっと、苦しくなるから。
だから―――
「俺が、守る」
「え―――?」
「何があっても・・・・・どんなものからも、守ってみせる。だから―――俺のものになれよ」
こぼれた涙が、西門さんの手を濡らす。
ああ、もう。
もう、手遅れだ。
もう、こんなに、好きになっちゃってる―――
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