***恋心 36 〜類つく〜***



  甘い甘いキス

それは蜂蜜よりも甘くて。

その甘さに、あたしはとろけそうになる。

「好きだよ」

ビー玉のような薄茶の瞳が、あたしを見つめる。

「ダメ―――」

「いいんだ。牧野の気持ちはわかってるから」

「だったら―――」

「でも、キスくらいは許して。いつかきっと、それも許されなくなる。だから―――今のうちだけ」

そうしてまた、甘いキスが落ちてくる。

ずるい。

こんな風に翻弄されて。

平気でいられるはずがない。

許されないことだ。

わかってるのに―――

「好きだよ」

耳に響く甘い声が。

蜂蜜よりももっと甘い口づけが。

あたしの心を、麻痺させていく―――







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