甘い甘いキス
それは蜂蜜よりも甘くて。
その甘さに、あたしはとろけそうになる。
「好きだよ」
ビー玉のような薄茶の瞳が、あたしを見つめる。
「ダメ―――」
「いいんだ。牧野の気持ちはわかってるから」
「だったら―――」
「でも、キスくらいは許して。いつかきっと、それも許されなくなる。だから―――今のうちだけ」
そうしてまた、甘いキスが落ちてくる。
ずるい。
こんな風に翻弄されて。
平気でいられるはずがない。
許されないことだ。
わかってるのに―――
「好きだよ」
耳に響く甘い声が。
蜂蜜よりももっと甘い口づけが。
あたしの心を、麻痺させていく―――
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