***恋心 34 〜総つく〜***



  絡められる熱い吐息に、体からは力が抜け、立っていられなくなる。

そのあたしの腰を支え、そっと唇を放すと熱っぽい瞳で見つめられる。

「―――離して」

ようやく紡ぎだされた声は、自分でも驚くほどか細くて。

はねつけてしまえばいいのに

そうすることができない。

「離したくないって言ったら・・・・・?」

西門さんのきれいな顔が、間近に迫る。

「ふざけないで。あたしのことなんて―――好きでもないくせに」

胸を押す腕にも力が入らない。

「どうしてわかる?俺の気持ちなんて―――お前にわかるのかよ」

悔しそうなその声が、今まで聞いたことがないほど真剣で。

「離さねえよ。お前が―――俺のことを好きって言うまでは」

あたしの体を抱きしめる腕に、力がこもる。

「―――この体―――折れちまう前に、認めろよ」

吐息交じりの声が、耳元をくすぐる。

「おれも、認めるから―――お前が好きだって」

懇願されたら、言わないわけにいかなくなる―――。

あたしだって―――

「―――好き―――」







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