「牧野!!」
血相を変えて部屋に飛び込んできた美作さんに、あたしの方がギョッとする。
「どうしたの?」
「どうしたのって―――お前が事故にあったって聞いて!大丈夫なのか!?」
その言葉を聞いて、あたしはそばにいた西門さんと類をじろりとにらむ。
「ちょっと―――」
「おれはただ、お前が車にはねられたって言っただけだぜ?」
西門さんが言えば、類も肩をすくめて
「おれも、今日は大学の講義出れないって言っただけ」
としれっとしている。
「もう!はねられたんじゃなくてちょっとかすっただけで、大したことないって言ったのに!大学だって、類が病院に行った方がいいって強引に車に乗せるから―――」
「じゃあ、大丈夫なのか?」
まだ心配そうに聞く美作さんに、両手を広げて見せ。
「このとおり。ちょっと肘をすりむいただけで、全然大丈夫。午後からは大学に―――」
そこまで言った時、ふわりと美作さんの腕に包まれる。
「―――よかった」
「み、美作さん―――」
「おまえに何かあったら―――俺も正気じゃいられないとこだった」
大袈裟。
でも、うれしくて。
思わず涙が出そうになった。
気がつけば、西門さんと類は部屋からいなくなっていて。
美作さんの優しい腕に身を預け。
その温もりを確かめていた―――。
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