「パーティーは苦手なんだけど」
「仕方ねえだろうが。お前は俺の婚約者だ。こういう席にも慣れとけよ」
道明寺の言葉に、あたしはため息をついた。
いつまでたっても慣れることなんてない。
華やかなパーティーの席で、どうしてもあたしは浮いてしまう。
だけど。
「司さん、お久しぶり」
まただ。
まるであたしが見えないみたいに、道明寺に近寄ってくる華やかな女たち。
さりげなく腕に手をかけたりする女もいる。
むきになるなんてくだらないって思うけど。
でも、この位置を他の人に譲る気なんかないから。
あたし以外の人を、その目で見つめてほしくないから。
だから、離れない。
絶対、この場所だけは譲らない。
そう決めたんだから―――
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