***恋心 31 〜つかつく〜***



  「パーティーは苦手なんだけど」

「仕方ねえだろうが。お前は俺の婚約者だ。こういう席にも慣れとけよ」

道明寺の言葉に、あたしはため息をついた。

いつまでたっても慣れることなんてない。

華やかなパーティーの席で、どうしてもあたしは浮いてしまう。

だけど。

「司さん、お久しぶり」

まただ。

まるであたしが見えないみたいに、道明寺に近寄ってくる華やかな女たち。

さりげなく腕に手をかけたりする女もいる。

むきになるなんてくだらないって思うけど。

でも、この位置を他の人に譲る気なんかないから。

あたし以外の人を、その目で見つめてほしくないから。

だから、離れない。

絶対、この場所だけは譲らない。

そう決めたんだから―――







お気に召しましたらクリックしていってくださいね♪