***恋心 3 〜あきつく〜***



「司にまだ未練があるのか?」

「まさか」

「じゃあ、やっぱり類か?」

「違うよ」

「まさか、総二郎?」

「そうじゃなくって」

「じゃあどうして俺じゃ駄目なんだ?」

まっすぐに見つめて言えば、牧野は困ったように俺を見上げる。

そういう表情も、実は好きなんだけどな。

「駄目なんて、言ってない」

「それなら、問題ないだろう?うちは母親も賛成してるんだし」

「でも、結婚なんてまだ・・・・・」

「今の内に捕まえておきたいんだ。何しろ外野がうるさいから」

「あたし、自信ないよ」

「なんの?」

「だって、美作さんて年上の人が好きじゃない。あたし、全然大人っぽくないのに」

「なんだ、そんなことか」

クスリと笑うと、牧野はぷっと頬を膨らます。

「そんなこと、じゃないよ。これでも気にしてるんだから」

「ばーか」

クシャリと牧野の髪をかきまぜる。

「俺が、お前がいいって言ってるんだから、お前はそのままでいいんだよ」

牧野の頬が紅潮し、その大きな瞳を瞬かせる。

「ただ、俺の傍に、いて欲しいんだ」

牧野が口を開く前に、そっとその唇を塞ぐ。

ゆっくりと閉じられた牧野の瞳から、涙が溢れ落ち、俺の唇を濡らした。

心地いいほどに湿ったその口付けが終わる頃には、牧野は俺の腕の中に落ちていた・・・・・。


                               fin.





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