***恋心 28 〜総つく〜***



  「何してんの、お前」

「は?」

あたしの顔を見るなり不機嫌そうにそう言う西門さんに、目が点になる。

「なんのこと?」

「なんのこと、じゃねえよ。クリスマスに、他に男はいねえって言ってたよな?」

「言ったよ。実際いないし」

「じゃ、なんであきらがお前からのクリスマスプレゼントを持ってるわけ?」

「ああ、そのこと」

「そのこと、じゃねえだろ?どういうことだよ?」

どんどん不機嫌さを増していく西門さんに。

あたしは嫌な予感が増していく。

「あれは、ちょっとしたお礼だよ。こないだ会った時、会社に遅刻しそうだったところを車で送ってもらったから―――」

「それで、マフラー?俺には手袋で?お前、同じ店で買っただろ」

「だ、だめ―――だった?」

同じブランドの、手袋とマフラー。

手袋は、本当に西門さんに似合いそうだと思って一目ぼれ。

どうしてもそれを買いたくなっちゃって。

美作さんのは、髪を切って首が寒いって言ってたから、思いついて―――

「だめっつーか。普通、あんまり気分は良くねえだろ。他の男とお揃いなんて」

「だって、美作さんだし」

「―――お前、あきらの奴とよく会ってるのか?」

ぎくりとしたのが、たぶん、顔に出てしまった。

西門さんの後ろに、黒いオーラが広がった、気がする。

「よ、よくってほどでもないよ。会社の帰りにたまに―――暇だから飲みに付き合えとかって―――週に1度くらい・・・・・?」

「―――おれとはクリスマスに会った時、1ヶ月ぶりだったよな?」

「そ、そうだね」

「その前は半年は会ってねえよな?」

「そ―――そうだっけ・・・・・?」

「つくしちゃん」

西門さんが、微笑む。

目は全く笑っていないけれど。

「今日は帰れないって、家に電話しときな」

あたし―――無事に新年を迎えられるのか―――?







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