「何してんの、お前」
「は?」
あたしの顔を見るなり不機嫌そうにそう言う西門さんに、目が点になる。
「なんのこと?」
「なんのこと、じゃねえよ。クリスマスに、他に男はいねえって言ってたよな?」
「言ったよ。実際いないし」
「じゃ、なんであきらがお前からのクリスマスプレゼントを持ってるわけ?」
「ああ、そのこと」
「そのこと、じゃねえだろ?どういうことだよ?」
どんどん不機嫌さを増していく西門さんに。
あたしは嫌な予感が増していく。
「あれは、ちょっとしたお礼だよ。こないだ会った時、会社に遅刻しそうだったところを車で送ってもらったから―――」
「それで、マフラー?俺には手袋で?お前、同じ店で買っただろ」
「だ、だめ―――だった?」
同じブランドの、手袋とマフラー。
手袋は、本当に西門さんに似合いそうだと思って一目ぼれ。
どうしてもそれを買いたくなっちゃって。
美作さんのは、髪を切って首が寒いって言ってたから、思いついて―――
「だめっつーか。普通、あんまり気分は良くねえだろ。他の男とお揃いなんて」
「だって、美作さんだし」
「―――お前、あきらの奴とよく会ってるのか?」
ぎくりとしたのが、たぶん、顔に出てしまった。
西門さんの後ろに、黒いオーラが広がった、気がする。
「よ、よくってほどでもないよ。会社の帰りにたまに―――暇だから飲みに付き合えとかって―――週に1度くらい・・・・・?」
「―――おれとはクリスマスに会った時、1ヶ月ぶりだったよな?」
「そ、そうだね」
「その前は半年は会ってねえよな?」
「そ―――そうだっけ・・・・・?」
「つくしちゃん」
西門さんが、微笑む。
目は全く笑っていないけれど。
「今日は帰れないって、家に電話しときな」
あたし―――無事に新年を迎えられるのか―――?
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