***恋心 23 〜あきつく〜***



  「好きなの」

言葉にしただけで、涙が出そうだった。

美作さんは困ったような顔で。

だけどあたしは止まらなくて。

「好きなの」

もう一度、そう伝えると。

「―――司には、なんて言う?」

「ちゃんと、話すよ」

「牧野、俺は―――」

「―――わかってる」

わかってるよ、美作さんの気持ちは。

いつだってF4のまとめ役で、みんなのことを考えてくれる彼だから。

だから、あたしは好きになったの。

そんな優しい美作さんが。

だけど、美作さんが道明寺を裏切るわけないし。

何より、あたしのことなんて、妹程度にしか思ってない。

それでも、この気持ちを伝えずにはいられなかった・・・・・。

サラっと、美作さんの優しい手が、あたしの髪に触れる。

「俺、まだ何も言ってねえよ」

ふと見上げれば、そこにはドキッとするような優しい笑顔。

「俺も、好きだよ、お前が」

まるで、言い聞かせるように、あたしの目を見つめる美作さん。

「うそ―――」

「うそなんてつかねえ。お前には―――ただ・・・・・覚悟しといてくれよ?」

「え?」

「俺はもう、覚悟はできてる。司を―――敵に回すことになっても、お前は、離さねえ」

そう言った美作さんの瞳は。

優しさの中にも、今まで見たことのないような情熱が見え隠れしているようで。

あたしは、しっかりその言葉に頷き、美作さんに抱きついた。

「美作さんが一緒にいてくれるなら―――大丈夫」

ずっと一緒にいたい。

そう思った人だから。

どうか、あたしを離さないで・・・・・。







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