「ぜっっったいだめ!」
「どうして?」
「だって―――」
「牧野は、俺専属の使用人でしょ?」
「そうだけど!でも一緒に寝るなんて―――」
「いいじゃん。前に手を繋いで寝たことだってあるんだし」
「それは―――!」
あのときは、あたしは道明寺のことを思ってて―――
今は、あの時とは違うよ。
いくら使用人だって、類と一緒のベッドに入って寝るなんて―――
「牧野がいてくれなきゃ寝れない」
「嘘ばっかり。とにかく、無理」
「じゃ、クビ」
「ちょっと!いくらなんでも横暴―――!」
「なら、一緒に寝よ」
にっこりと、天使の―――いや、悪魔の微笑み。
「大丈夫。牧野がいやがることはしないから」
ずるいよ。
あたしが嫌がるわけないって、知ってて言うんだから。
そのビー玉のような瞳でお願いされたら最後。
あたしに拒否なんてできるわけないって。
あなたに、逆らえるわけないって―――
だってあたしもあなたと同じ気持ちだから。
それを見透かされているようで、悔しくなるの。
「ほら、おいで」
手を伸ばされて。
その手を掴んでしまえば、もう戻れなくなる―――
|