***恋心 19 〜類つく〜***



  だから、そういう目で見ないでほしい。

あたしを見つめる、ビー玉のような瞳。

その視線から逃れる術を、あたしは知らない。

「牧野?聞いてる?」

「―――聞いてるよ」

「じゃ、答えて。何があったの?」

「―――何も」

「嘘はなし」

「―――」

「じゃ、俺が言おうか?」

「え―――」

「司と別れたんでしょ?」

「どうして―――」

「さっき、司から電話があった。牧野を、よろしくってさ」

思わず、顔を背ける。

「あいつ、余計なこと―――」

「余計なこと?司が俺に言わなかったら、ずっと言わないつもりだったの?それで、俺から逃げられると思う?」

いつになく、厳しくなる類の瞳に、あたしは戸惑う。

「逃がさないよ。俺はもう、決めたから」

「決めたって―――」

何を?

そう聞こうとして。

言葉にする前に、抱きしめられてた。

「牧野をずっと、離さないって・・・・・」







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