だから、そういう目で見ないでほしい。
あたしを見つめる、ビー玉のような瞳。
その視線から逃れる術を、あたしは知らない。
「牧野?聞いてる?」
「―――聞いてるよ」
「じゃ、答えて。何があったの?」
「―――何も」
「嘘はなし」
「―――」
「じゃ、俺が言おうか?」
「え―――」
「司と別れたんでしょ?」
「どうして―――」
「さっき、司から電話があった。牧野を、よろしくってさ」
思わず、顔を背ける。
「あいつ、余計なこと―――」
「余計なこと?司が俺に言わなかったら、ずっと言わないつもりだったの?それで、俺から逃げられると思う?」
いつになく、厳しくなる類の瞳に、あたしは戸惑う。
「逃がさないよ。俺はもう、決めたから」
「決めたって―――」
何を?
そう聞こうとして。
言葉にする前に、抱きしめられてた。
「牧野をずっと、離さないって・・・・・」
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