何でこんなことになってるんだろう。
人気のない教室で。
なぜかあたしは西門さんと2人きりで。
そしてなぜかキスをしていて。
「―――わけわかんないんだけど」
「ん?そう?つまり、こういうことだろ?」
「こういうことって?」
「俺が、お前のことを好きだってこと」
「―――なんの冗談?」
「なんで冗談だと思うわけ?」
「だって、ありえない」
「そうでもないぜ。俺、今めちゃくちゃ緊張してるし」
「西門さんが?」
「うん。ほら」
そう言って抱きすくめられて。
耳元に押しつけられた西門さんの胸から、心臓の鼓動が聞こえた。
とても速いリズムで、波打ってるその音に。
なんだか嬉しくなってるあたしがいて。
「―――やっぱり、ありえない」
「たまには素直になってみろって」
くすりと笑う西門さんの笑顔が、間近にある。
「お前も、俺が好きだって思ってるだろ?」
「どっから来るの、その自信」
「だって、お前の心臓の鼓動すげえはええし」
「―――やなやつ」
「なんて言われてもいいよ、お前になら」
「いつからそんな、甘やかすようになったの」
「お前を好きだって、気付いたときからだよ」
そして、また触れるだけのキスをして。
2人の鼓動が、重なった―――。
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